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  1. 秋田県議会 2003-02-01
    02月19日-04号


    取得元: 秋田県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-15
    平成15年  2月定例会 本会議議事日程第四号  平成十五年二月十九日(水曜日)  午前十時開議第一、福祉環境委員長選任の件第二、一般質問---------------------------------------本日の会議に付した案件    議事日程に同じ--------------------------------------- △午前十時零分開議 本日の出席議員    四十四名     一番  加成義臣      二番  菅原龍典     三番  川口 一      四番  穂積 志     五番  安藤 豊      六番  伊藤昭二     七番  工藤任国      八番  栗林次美     九番  大関 衛      十番  津谷永光    十一番  宮腰 誠     十二番  平沢健治    十三番  木村友勝     十四番  土谷勝悦    十五番  樽川 隆     十七番  小田美恵子    十八番  武田英文     十九番  金谷信栄    二十番  鶴田有司    二十一番  石田 寛   二十二番  小田嶋伝一   二十三番  加藤義康   二十四番  菅原 昇    二十五番  小番宜一   二十六番  冨樫博之    二十七番  原 盛一   二十八番  大野忠右エ門  二十九番  佐藤健一郎    三十番  中泉松之助   三十二番  高松和夫   三十三番  工藤嘉左衛門  三十四番  野原多津美   三十五番  伊藤万治郎   三十七番  鈴木洋一   三十八番  大里祐一    三十九番  安杖正義    四十番  北林康司    四十二番  佐藤次男   四十三番  北林照助    四十四番  長谷部 誠   四十五番  藤原俊久    四十六番  辻 久男   四十七番  高久正吉    四十八番  柴田康二郎本日の欠席議員    二名   三十六番  能登祐一    四十一番  児玉 孝---------------------------------------     出席議員    四十四名     一番  加成義臣      二番  菅原龍典     三番  川口 一      四番  穂積 志     五番  安藤 豊      六番  伊藤昭二     七番  工藤任国      八番  栗林次美     九番  大関 衛      十番  津谷永光    十一番  宮腰 誠     十二番  平沢健治    十三番  木村友勝     十四番  土谷勝悦    十五番  樽川 隆     十七番  小田美恵子    十八番  武田英文     十九番  金谷信栄    二十番  鶴田有司    二十一番  石田 寛   二十二番  小田嶋伝一   二十三番  加藤義康   二十四番  菅原 昇    二十五番  小番宜一   二十六番  冨樫博之    二十七番  原 盛一   二十八番  大野忠右エ門  二十九番  佐藤健一郎    三十番  中泉松之助   三十二番  高松和夫   三十三番  工藤嘉左衛門  三十四番  野原多津美   三十五番  伊藤万治郎   三十七番  鈴木洋一   三十八番  大里祐一    三十九番  安杖正義    四十番  北林康司    四十二番  佐藤次男   四十三番  北林照助    四十四番  長谷部 誠   四十五番  藤原俊久    四十六番  辻 久男   四十七番  高久正吉    四十八番  柴田康二郎---------------------------------------     地方自治法第百二十一条による出席者          知事                  寺田典城          副知事                 千葉 隆          出納長                 西村哲男          理事                  根津谷禮蔵          総務部長                横山忠弘          企画振興部長              川勝敏弘          健康福祉部長              加藤清美          生活環境文化部長            川辺征夫          農林水産部長              品田 稔          産業経済労働部長            吉野恭司          建設交通部長              越後谷康作          出納局長                渡部克澄          総務部次長知事公室長         竹村達三          総務部参事兼財政課長          渡部文靖          公営企業管理者職務代理者        安田幸男          教育委員会委員長            太田宥子          教育長                 小野寺 清          選挙管理委員会委員長職務代理者     小野康雄          人事委員会委員長            加賀谷 殷          公安委員会委員長職務代行者       藤井 明          警察本部長               石川正一郎          地方労働委員会会長職務代行者      小西尚志          代表監査委員              山田昭郎--------------------------------------- ○議長(津谷永光君) これより本日の会議を開きます。 日程第一、福祉環境委員長選任の件を議題といたします。お諮りします。本件は、議長の指名に一任されたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     [「異議なし」と呼ぶ者あり] ○議長(津谷永光君) 御異議ないものと認めます。指名いたします。福祉環境副委員長には栗林次美君を指名いたします。福祉環境副委員長は、ただいまの指名のとおり選任されました。 次に、日程第二、一般質問を行います。二十一番石田寛君の一般質問を許可することにして御異議ありませんか。     [「異議なし」と呼ぶ者あり] ○議長(津谷永光君) 御異議ないものと認めます。二十一番石田君の発言を許します。     [二十一番(石田寛君)登壇](拍手) ◆二十一番(石田寛君) 社会民主党議員団を代表し、一般質問を行います。 初めに、最近のイラク情勢に関連し、国際平和についてお伺いいたします。 国連のイラクに対する大量破壊兵器査察に端を発したアメリカのイラクへの武力行使に対して、八〇%近い国民が反対であると報道されております。政府は国民の声を代表するものとこれまで思っておりましたが、日本政府は残念ながらそうなっていないのであります。大量破壊兵器を世界で一番持っているアメリカが、持っているかいないかはっきりしないイラクに、けしからぬから攻撃するというのは言語道断であります。この武力行使には二十四兆円が費やされると言われ、そのうちの何%日本が提供しなければならないのでしょうか。湾岸戦争では、国民一人当たり一万円、一兆二千億円を日本が提供いたしております。湾岸戦争でアメリカが負担したのは一一・六%、日本は一六・四%の負担を強いられたのであります。このパーセントを踏襲すると、今度のイラク戦争には約四兆円の多額の金を日本は負担するだろうと言われております。他国の、人を殺す戦争に、私たちの納めた税金が使われることに国民は納得するのでしょうか。 今回の計画では、四十八時間で三千発も爆弾を打ち込み、一挙に破壊するという報道もあります。バグダッドには五百万人の市民が生活しており、その中には多くの子供たちがいるのであります。二日間の攻撃がなされると十六万人の被害が出ると言われているのであります。十二年前の湾岸戦争では、劣化ウラン弾が使用され、放射能被害が出ております。先日、十一、十二日、秋田駅前においてイラク写真展が開かれ、ごらんになった方もあろうかと思いますが、十二年前の被爆により白血病で苦しむ少女の痛々しい姿が見られたのであります。これからの戦争は、大小にかかわらず核が使用される可能性が非常に高いのであります。広島や長崎の惨状を繰り返さないためにも、身をもって体験した日本だからこそアメリカの暴走をとめなければならないのであります。さきに日本を訪れた元国連大量破壊兵器査察官のスコット・リッター氏は、「日本がアメリカの同盟国としてアメリカ武力行使をとめるよう働きかけをお願いしたい。それが日本の責任である」と述べ、「武力行使をとめて普通のアメリカに戻す努力をお願いしたい」、こう訴えられて帰られたのであります。 国連の安保理決議一四四一の目的は、査察や武装解除であり、体制転覆や戦争ではなかったはずであります。アメリカ武力行使を許すなら、世界の秩序が大国によって破壊されることになり、今後に大きな問題を残すことになるのであります。 秋田県は、全国でも早くから非核平和都市宣言に取り組み、秋田県を初め七十自治体が行っていることから、劣化ウラン弾など核の使用、弱い者が犠牲になる戦争をとめるために、寺田知事におかれては、全国知事会や日本の政府に働きかけをお願いしたわけでありますけれども、知事の率直なお考えをお聞きいたしたいと思います。 私がこの原稿を書き上げてからもう一週間たっておりますが、この一週間に大きな出来事がありました。国連安保理が十四日開かれて、査察継続の意見が多数を占めました。そして翌日の十五日には、東京初めニューヨークやロンドンなど世界の主要都市においてイラクの武力行使に反対する集会やデモが開かれ、この一日に全世界の方々が反戦のために一千万人が集ったと言われております。私はこれまでこのような大きな反戦の集いを聞いたことがありません。これが世界の良心と言わずして何と言えるでしょうか。 また、自民党の総務会が十三日に開かれ、秋田県選出の野呂田芳成防衛庁長官もこのことに関して述べられているそうです。「アメリカがイラクに対する武力攻撃に踏み切った場合、政府に慎重な対応を求める」ということで、「イラクは核開発していないというのに攻撃を進め、北朝鮮は核開発をしているというのに話し合いというのでは、国民は釈然としない。アメリカ政府の姿勢を批判するとともに、対米支援の法案が出てきたときはちょっと考えないといけない」と、こう述べられております。 また、自民党の野中広務元幹事長は十四日、講演先において、テロ対策特別措置法に基づき海上自衛隊がインド洋で米英軍に行っている給油の対象国を拡大することについて、「恐らく日本は既に百億円を超えている。不景気などで三万五千人も自殺をし、苦しんでいる中、日本がやらなくてはならないのか。少しおかしいのではないか」と述べたとあります。全く私も同感であります。 そしてまた、「人間の盾になって、アメリカ武力行使を阻止しようと日本から四団体九十人の方々が十六日イラクに出発をし、現在はアメリカやフランスやドイツなど多くの方々がイラク入りを続けております。彼らに爆弾の雨が降らないように祈らずにはおられません。 次に移ります。自衛隊射撃訓練場移転についてお伺いいたします。 秋田市飯島の陸上自衛隊射撃訓練場移転について、国からは本決まりのように聞いておりますが、先ほど申し上げましたように、世界が戦争や紛争の危機にあるとき、現状の射撃訓練場より十倍も広い射撃訓練場を誘致し、施設が単なる射撃場ではなく、テロやゲリラ事件に備えるための高度訓練施設を備えた施設となった場合、県民に何ら危険がないと断言できるでありましょうか。 知事は以前、「国策に協力しなければ」と言っておりましたが、知事には国よりも県民の側を向いていただきたいのであります。現在地を県が工業団地として買収してくれるめどがつけば、防衛庁は「十五年度予算で対処することになる」と述べていたことから、慎重を期していただきたいのであります。一般的に、地域住民の反対で移転や縮小も見られる全国的状況からすると、積極的に誘致したいというケースは極めて珍しいことでありますが、私は不景気の中だから反対を言葉に出しにくい地域性がそこにはあるのではないかということであります。もし景気がよく温泉地がにぎわっているなら、迷彩服の自衛隊が連隊で温泉地を歩かれれば迷惑だとか、射撃音や銃声が聞こえれば困ると反対の声が起きるのが普通であります。 知事は、まずどのようなルートで自衛隊が新しく施設される射撃場に入るのか、そして一年間にどの程度の編成で、どの程度の内容の訓練をし、どの程度の射撃音が出るのか、その他地域住民が心配していることを情報開示し、住民の意見に耳を傾けるべきではないでしょうか。冒頭に申し上げた国民世論からすると、まず住民ありきであり、国に不協力の姿勢も大切と思いますが、御見解をお伺いいたします。 次に、平成十五年度当初予算案についてお伺いいたします。 景気低迷やデフレ経済の進行に起因する税収の大幅減、地方交付税総額の抑制、財源不足を埋めるための県債発行額の増加など、地方財政をめぐる環境には大変厳しいものがあります。平成十五年度当初予算案では、県税収入が平成十三年度の一千十億円から平成十五年度は八百一億円と、わずか二年余りで二百億円もの大幅な減収を見込まざるを得ない状況にあるとともに、地方交付税についても前年度比百八十二億円の減の二千二百八億円となっております。一方、県債については、財源不足に対する手当てとして交付税措置を前提とする臨時財政対策債の純増分がほとんどを占めているとはいえ、発行額が前年度に比べ約二百四十八億円もの増加となっております。また、減債・地域振興事業基金についても、昨年度に引き続き二百億円近くの取り崩しが予定されております。 これらのことを家計に例えてみれば、月々の収入の大幅な減少分を、国が面倒を見てくれるローンを組み、それでも足りない分は残高の少なくなった貯金をおろして、どうにかこうにか生計を維持している状態と言えるのではないでしょうか。このような状況は本県ばかりの問題ではなく、各県とも程度の差こそあれ、おおむね似たような状況にあります。また、経済情勢がにわかに好転し、税収などが回復するなどということは期待できない状況にありますので、ここ当分は厳しい財政運営を強いられると考えざるを得ないのであります。知事の言葉をかりれば、綱渡り的な財政運営を強いられる状況が続くのであります。 平成十五年度当初予算をめぐっては、ともすれば歳入面を中心に財政状況の厳しさばかりが問題にされております。厳しい財政状況については、同僚議員からの質問に対する答弁がありましたので、あえてここでは求めませんが、厳しい予算編成に当たられた知事に対しては、この場をかりて敬意を表します。 私は、このような厳しい状況だからこそ、当局におかれては、知恵と工夫に満ちた歳出予算の計上が求められるのではないかと思います。平成十五年度はあきた21総合計画第二期実施計画の初年度であるとともに、このたびの予算編成からの新たな取り組みとして、経済・雇用対策、男女共同参画社会づくり、新社会資本の整備の重点分野に係る施策・事業については重点配分を行ったとのことであります。 そこで、お尋ねいたしますが、財政的に大変厳しい中、苦労されて編成した当初予算を歳出面から見て、重点事業など売り物と言えるような特徴的な事業について、詳しくお伺いをするものであります。 次に、農業振興施策についてお伺いいたします。 初めに、米政策改革大綱についてお伺いいたします。秋田県の農業の特徴は、農家の耕作面積が小さく、家族型農業が中心であります。人口は毎年約五千人減少を続け、農家人口も毎年六千人以上減少を見ていることから、秋田県の人口減少に歯どめをかける課題は、何といっても農業振興と言えるのであります。そのことからすると、新たな米大綱を見る限り、秋田県農業には大きな改革が求められているのであります。農家を初め農業団体は、今まで以上に、国や県の指導、協力に大きな期待を寄せているのであります。生産調整に国を初め行政がかかわりを持たないのは責任放棄であり、問題があり過ぎると農業団体が反発し、地方公共団体がかかわっていくことを明記すると言いますが、改革大綱を踏まえて、県として行政としてどうかかわっていくのか、明確にしていただきたいのであります。国は国、他県は他県でも、農業県秋田として市町村を巻き込み、他県をリードする施策を打ち出していただきたいと思うものであります。 個別の対応についてでありますが、とも補償や稲作を主とする認定農業者経営安定事業の十割補てんの二つの事業については、相当の効果があることから、産地づくり担い手づくりを進める上で、さらに改善する方向が求められているものであります。 さらに、あきたこまち一辺倒で消費者をつなぐことができると思っているのでしょうか。ポストこまちの対策はどのように進んでいるのでしょうか。「めんこいな」の作付が依然として農家の間には浸透していないのはどこに原因があるのでしょうか。普及にどのような努力をされてきたのでしょうか。価格面の弱さを抱えても普及の必要があるのではないでしょうか。これからは産地間競争が激しくなるものであり、ポストこまちについては第二、第三と用意しなければおくれをとるものと考えます。つくりやすい安定感を求めるのでなく、需要をにらみ、消費者のニーズ、安くておいしい、安全・安心な米にこたえる顔の見える米づくりに挑戦していただきたいのであります。 また、担い手経営安定対策では、個人四ヘクタール、集落型経営体二十ヘクタール以上が対象となることに対し、どのように担い手づくりを進めるのか、産地づくりを進めるのか注目しているものであります。知事の特段の英断に対し期待いたします。 次に、水田農業の活路に向けてであります。「遊休農地放置に罰則」と活字が躍っていたのはつい先日のことであります。農家から「冗談でない」という声が上がっております。好きで遊ばせているわけでもなく、怒り心頭が率直なところと言えます。幾ら農業をやりたい、続けたいと思っても、三割減反を押しつけ、価格で競争ができないほど安い外国の農産物を輸入する政策をとり続けてきた農水省が言う言葉でありましょうか。まず、このことに対し知事はどのように考えているのかお伺いいたします。 遊休農地や耕作放棄地が生まれるのはなぜでしょうか。国の猫の目農政が犯人であり、責任転嫁も甚だしいと言えるものであります。昭和三十八年には一人当たり百十八キロの米を食べていたのに、今日では六十四キロまで減り、この四十年の間に年間四百万トンの米を日本人が食べなくなったのであります。外国では最近、逆に米嗜好がふえているのに、日本の食生活が洋風化し、おかげで病気も洋風化し、かつて見られない病名が多発しているのであります。学者は、数年で食料危機が来ると予言しております。現にマイクロソフト社のビル・ゲイツは南米に大量の農地を買い求めていると言われております。また、北朝鮮が五四%の自給しかなく、食料危機だと連日悲惨な状況が報道されておりますが、日本はわずか四〇%の自給率であります。もし外国から食料が入らねば、そのときの危機というものは北朝鮮の比ではありません。まさしく遊休農地や耕作放棄地をこれ以上つくらない方策が求められるのであります。このことに対する知事の考えをお伺いいたします。 次に、私は、水田を維持し、ダムの代替などの公益機能を維持するために、二つの提案を申し上げます。 一つ目は、えさ米を三〇%配合した加工飼料を勧めることであります。家畜に与える濃厚飼料は原料ベースで二千四百万トンであり、うち九〇%は輸入に依存しております。つまり、一億二千万人の米消費量の約二年分に近い量を外国に頼っているのであります。玄米三〇%を配合飼料に使用すると、六百万トンのえさ米が必要になります。これまで日本人が食べなくなった四百万トンを上回る数字になるのであります。県内に当てはめると二十五万トンの三〇%にえさ米を導入すると、減反面積の三分の一が利用できると言われております。県内の農家が、グレインサイレージと玄米を粉末にして三〇%配合し家畜に給餌する実験結果は、予想以上に良好であり、栄養価も高いものと考えられます。農家の研究で終わらせることなく、県が公的立場で試験研究し実証されることを期待するものであります。輸入飼料より高くつく心配はありますが、家畜の胃袋が九〇%外国に占領されて、食の安全が叫ばれる今だからこそ、多少の持ち出しがあっても美田の荒廃がふえる比ではないと考えるものであります。農林水産省も興味を示していると言われております。農林水産省から県当局にこのことで問い合わせがなかったでしょうか。まず、直ちに試験研究に取りかかっていただきたいと思うものでありますが、知事の率直なお考えをお聞かせ願います。 次に、県内のアジア・アフリカ飢餓救援米活動に取り組んでいる団体に対する支援についてお伺いをいたします。これらの団体は、国連食糧計画の呼びかけにこたえているものであり、この食料計画によりますと、世界で食料不足から毎日二万四千人、一時間に一千人の方々が亡くなっていると言われております。そのため日本国内の取り組みで約九十トン弱の米が全国から寄せられているのであります。このことは農家からも歓迎されております。なぜなら、三割減反のため二年交代で田畑を交互に使用し、水田を維持させる難儀な努力を続けている農家にすれば、水田のまま維持できるから希望があるということであります。しかし、問題がないわけではありません。米づくりの経費のほか、横浜までの輸送費、横浜から現地までの輸送費とカンパ活動に追われております。もっと手軽に国連に平和協力できるように、横浜から現地までの輸送費については国が持つべきものと思います。不明朗な会計と言われ逮捕者まで出しているODAなどの海外援助より、実のある支援に助成があってもいいと考えるものであります。国に対する働きかけや県の支援策の考えはないのか、お伺いをいたします。 減反は、耕作放棄地を広げ、水、緑をつぶし、国土崩壊に通じる恐ろしいことであります。これを阻止することこそ、有事法制より大切な国防と言えるのであります。自給率を高め公益機能を維持するためにも、知事の前向きなお答えを期待するものであります。 次に、林業振興施策についてお伺いいたします。 初めに、地域森林計画の推進についてであります。一昨年六月に成立した森林・林業基本法の制定により、木材生産を重視する政策から森林の持つ多面的機能持続的発揮を重視する政策へと転換いたしました。この新しい森林・林業基本法の理念を具体化し、個々の施策を着実に進めるため、森林・林業基本計画が策定されました。地方公共団体にも、基本理念にのっとり必要な施策を策定し実施する責務を有すると明記されております。 本県においても、流域単位に地域森林計画が策定されておりますが、アメリカのように州法や連邦による法律と違い、その効力が懸念されるものであります。将来は県条例を目指すとしても、当面は指導要綱を策定し、更新を強化すべきではないでしょうか。 昨年、シアトルの林業を武田議員と視察し、その取り組みに驚いてきたところであります。アメリカにおいては、一定程度の面積を伐採する場合、流域側は幾ら残すとか、伐根や立木を鳥や虫たちに幾ら残すとか、伐採の後の植林は三年以内に行うというのが法制化されているのであります。県の地域森林計画では、それ以上に細かく規制しており、内容には頭が下がる思いであります。しかし、計画はあくまで計画であって、実績が伴わないと意味が薄れるものであります。地球温暖化防止森林吸収源十カ年対策の着実な前進のためにも、林業県として森林整備指導要綱的なものを作成し、効力を発揮する手だてを考えていただきたいと思いますが、知事の御見解をお伺いします。 次に、県産材の活用についてお伺いいたします。昨年の十二月定例議会で、知事は「県産材利用推進計画を策定し、県有施設の木造公共土木工事における県産材の利用目標などを定め、十四年度は庁舎や学校、社会福祉施設などの種類ごとに木造化や内装の木質化を図るガイドラインを策定する」と答えておりましたが、評価をいたしております。また、「秋田スギなどの県産材をより一層活用するため、仕様書に明記する方向で検討する」と答えられておりますが、新年度から取り入れるのか、検討状況についてお伺いいたします。 また、心配なのは財源であります。例えば、五城目町の道の駅を昨年県が設置いたしましたが、一部に輸入材が使用されており、地元には評判が悪いのであります。隣の施設は町で建設したもので、立派な秋田スギを使用しておりましたが、県施設が不つり合いに建っているとやゆされているものであります。多分、財源を考えたものと思いますが、このような状況では仕様書を作成する現場が書いてくれるか非常に疑問を持っております。 そこで提案いたします。建設事業予算を持つ部局ではなく、県産材利用推進計画を扱う部局が、特別枠を設けて予算措置し、各部局公共工事の県産材の利用度によって上乗せ予算として助成するなら、県産材を活用した予算を組みやすくなるのではないでしょうか。学校の机やいすにしても、単価を考え進まないのではと思っております。他県から県内に注文が来る時代であります。特別枠があれば市町村の教育委員会も導入しやすいのではないでしょうか。知事の英断を期待してお伺いするものであります。 次に、商業振興施策についてお尋ねいたします。 初めに、大型店問題についてであります。大型店ラッシュがまだまだ続いております。進出することによって既存の店舗が姿を消していく、生まれたころからあったお店が消えていく。資本主義社会は競争社会で片づけることができるのでしょうか。 地域のお店が住宅地に混在し、生活環境が整っていたのに、地域から消えて一番困ったのは、お年寄りや子供たちなどの弱い立場の皆さんです。最近は小・中・高と、学校の周りに住宅がふえてきたこともあって、学校の真ん前に大型店が見られることもしばしばあります。大型店ができますと、自動車の交通量は一日三千台以上になるだろうと言われております。朝に子供たちが車の間をすり抜けるようにして登校する姿がよく見られます。こんなことをいつまで知らぬふりができるのでしょうか。力のあるものが何でもできる世の中でいいものでしょうか。 市町村では大型店の出店に合わせ、都市計画の見直しも余儀なくされます。学校や病院などの隣接としての迷惑、道路整備や交通信号機の設置など、行政の負担が多額にならないように、県が指導要綱を持つべきと考えるものであります。県内の商工関係者を初め、県内の老人クラブや学校関係者から、まず意見を聞いてみる必要があると思いますが、いかがなものでしょうか。今後の秋田県の自然と環境に十分配慮し、県民の安全、安心を考えたときに、このままでいいと考えるのか、知事にお尋ねいたします。 次に、中心市街地の商業活性化についてお伺いします。本県では、道路網の充実整備と相まって、近年ますます車社会の様相を呈しており、また、少子化、高齢化が急速に進み、ほとんどの地域で人口減少が続いております。そのような状況の中、買い物における消費者の志向は、地域に根差した従来からの商店街よりも、郊外型、ロードサイド型の大型店舗に変化してきているのが現状であります。そのため、どこの商店街でもウイークデーは無論のこと、休日でも人通りはまばらで閑散としており、シャッターをおろした空き店舗ばかりが目立つのであります。調査によれば、市部の商店街では平均で約一割ほどが空き店舗となっており、ひどいところは二割といいますから五軒に一軒が扉を閉めている、いわゆる「シャッター通り」が数多く見受けられます。健康でどこへでも車で出かけることのできる人々にとっては、商店街の衰退も大した問題ではないのかもしれませんが、足腰や体の弱い人たち、あるいは郊外の大型店までの交通手段を有していない交通弱者などにとっては、身近な商店街の店舗の閉鎖ということは、毎日の生活必需品の購入などについて非常な困難を強いられることとなるのであります。中心市街地の商店街は、これまで地域の生活と経済を支えてきただけではなく、その地域の歴史を具現化している場所でもあります。幾ら時代の流れとはいえ、まだまだそこを必要とする人々が大勢いる、とりわけ高齢者人口の多い我が県は、高齢者が商店街を濶歩するまちづくり、高齢者でにぎわう商店街を目指すべきであります。 そこで知事にお伺いをいたします。商店街がにぎわいを取り戻し、地域の人々と支え合って存続していくためには、経営者個人個人の経営努力や商店街組合等の自助努力が大切なことはもちろんでありますが、県として商店街の維持存続やその支援等に対してどう考えているのか、お伺いいたします。 最後に、福祉施策についてお伺いいたします。 四月から始まる障害者の支援費制度で、ホームヘルプサービスの補助金をめぐる厚生労働省の主張、対応に対し障害者が反発し、日本は心の貧しい国と報じられたところであります。一月十四日から、厚生労働省前で車いすや電動車いすの皆さんが支援者とともに抗議行動を繰り返し、二十七日に合意を見たところであります。十六日には一千人を超える障害者が集結し、厚生労働省は門をかたく閉ざす事態にまでなったのであります。私もその後、支援に参加しましたが、その日はみぞれで心も凍るような寒空でした。車いすの重度障害者をいつまで寒空に立たせるのだろうかと怒りを覚えたものであります。…… ○議長(津谷永光君) 石田議員、残り一分です。 ◆二十一番(石田寛君) ……支援費制度は、国や自治体が一方的に施設入居やサービスを決めてきたこれまでの措置制度を、百八十度転換させるものであり、利用者が必要なサービスを選ぶ、所得や利用度に応じ利用料に公費補助をするものであり、大きな改革となるものであります。ホームヘルプの補助金は、地域のグループホームや自宅などの在宅介護を支える大きな柱です。厚生労働省は来年度予算で二百七十八億円を自治体に配分するとしましたが、利用時間に上限を設けようという方針に、障害者が反発しないわけがありません。三年前に社会福祉法の成立により支援費制度が決まってから、厚生労働省はホームヘルプサービスで上限は設けるなと市町村を指導してきたではありませんか。障害者は多様であります。一律に上限を決められません。例えば、一人当たりのサービス量を、全身性障害の場合百二十時間までと決め、それを超える分は自治体が賄うという方針を示したのであります。基準は上限でないといっても、ホームヘルプサービスは市町村によって大きな差があります。東京都の場合は、一人月二百四十時間程度まで認めておりますが、…… ○議長(津谷永光君) 二十一番石田議員に申し上げます。結論を急いでください。 ◆二十一番(石田寛君) もう少しお願いいたします。 ○議長(津谷永光君) 結論を急いでください。 ◆二十一番(石田寛君) ……すみません。 上限を百二十時間とすれば、一日四時間となり、これではうちに閉じこもっていろと言わんばかりであります。施設より地域で普通に障害を持たない人たちと暮らすノーマライゼーションと呼ばれる、戦後デンマークから始まった障害者の権利を尊重する考えが広がってきたものであり、サービスの充実は当然であります。さきに地元新聞の社説では、「実態に即した運用を図れ」とあり、「障害者の声に真摯に耳を傾け、障害者本位の支援制度とすることが望まれる」と結んでありました。その中で、県内の状況も載せられておりましたけれども、これらは施設内か在宅にいる方々の数字であって職場などに通ったり買い物をしたり、ひとり暮らしを楽しみたい方々の実績ではありません。…… ○議長(津谷永光君) 再度申し上げます。結論を急いでください。 ◆二十一番(石田寛君) ……全身性障害者介護人派遣事業制度がある市町村は県内に一市しかなく、それもヘルパー資格要件の研修制度があっても実施されていない状況であり、このことを県はどのように把握されているのかということであります。障害者へのホームヘルプサービスの水準の高い地域には、障害者がひとり暮らしなどをする上で必要な自立生活プログラムや、研修やアパート探し、介護ボランティア確保などの自立支援サービスを提供できる自立生活センターなどの障害者団体があるそうです。ひとり暮らしが難しいと本県から…… ○議長(津谷永光君) 時間です。 ◆二十一番(石田寛君) ……自立生活センターのある宮城県や福島県に引っ越しした全身性障害者もいるそうです。これが実態であります。県は、何をこれまで学ばれたのか、県内の障害者の声に耳を傾け、今後どのようにこたえようとしているのか、率直なお考えをお伺いし、私の質問を終わります。大変失礼しました。御清聴ありがとうございます。 ○議長(津谷永光君) 県当局の答弁を求めます。     [知事(寺田典城君)登壇] ◎知事(寺田典城君) 石田議員の御質問にお答えいたします。 最初に、国際平和についてでありますが、戦争のない平和な社会の実現は、人類共通の願いであります。私としては、イラク問題が、最大限の外交努力により、平和のうちに解決されることを強く望んでおります。 二点目の自衛隊射撃訓練場移転についてでありますが、このたびの山本町への移転決定は、議会の議決を経て、国と町が協議し、合意し、決定されたものであります。新たに整備される射撃場は、現在の施設と基本的に同様の機能を有するものであり、射撃距離や射撃日数も、現射撃場の訓練計画と変更がないと聞いております。また、周辺住民の安全確保と射撃音の影響を軽減する観点から、十八へクタールという広い用地を確保した上で、山間地の谷地に設置するとともに、樹木の伐採も必要最小限にとどめると伺っております。移転に係る情報については、国が責任を持って開示すべきものと考えますが、県としても、山本町と十分連携をとりながら、国に対し、適切な情報提供と必要に応じた協議を要請するとともに、周辺、沿線市町村並びに県民に対する情報の提供に努めてまいりたいと思います。 三点目の平成十五年度当初予算案についてでありますが、明年度予算案は、前年度に比べ県税収入が約百二億円落ち込むとともに、地方交付税が百八十億円減少する一方、臨時財政対策債が約二百三十八億円増加する中での予算編成となりましたが、あきた21計画第二期実施計画の初年度として、さらに元気な秋田をつくり上げることを目標に、計画に基づく施策・事業の総合的な推進を図るため所要額を計上するとともに、重点施策推進方針に基づく施策・事業に、重点的に配分を行っております。 重点施策推進事業は、社会経済情勢の動向や県民のニーズを踏まえ、第二期実施計画の中でも特に力を入れて取り組むべき施策・事業を定め、推進しようとするものであり、平成十五年度は、厳しい経済環境に対応した緊急の経済・雇用対策の推進、暮らし優先の社会に転換する男女共同参画社会づくり、将来の秋田づくりの礎となる新社会資本の整備の三分野にわたる施策・事業としております。 なお、重点施策推進事業への予算措置状況については、対前年度比で四%増となっておりますが、計上に当たっては、費用対効果などを十分に精査し、重点施策推進事業への配分が財政の悪化につながることのないよう十分留意しております。 四点目の農業振興についてでありますが、初めに、米政策改革大綱については、このたびの改革は、米価の低迷や国の財政的な制約、WTO農業交渉における関税引き下げ圧力などが背景となっておりますが、米を初めとする本県農業全体に、大きな影響を与えるものと考えております。この改革に対応するためには、まず、農業者が、つくれば売れるというこれまでの考え方から、消費者が求める米を生産するという意識に転換し、JA等農業団体と一丸となって、秋田の特徴と優位性を十分に生かした米づくりに取り組んでいくことが原点になるものと考えております。その上で、県はもとより関係者が一体となり、お互いに知恵を出し合いながら、マーケティング活動に取り組むとともに、トレーサビリティーシステムの導入による安全・安心な「あきたブランド」の確立を目指し、努力する必要があると考えております。また、改革を着実に実施するため、担い手の育成や低コスト高品質生産への対応、さらにはポストあきたこまち等の品種開発などにつきましても、本県として必要な対策を講じてまいります。 なお、とも補償や稲作経営安定対策につきましては、その仕組みが大きく変わることから、今後、国の動向を見きわめながら具体的に検討してまいります。 次に、水田農業の活路についてでありますが、まず、遊休農地の解消については、農村の過疎化、高齢化が進行し、担い手が不足する中で、生産調整の拡大や農産物価格の低迷等に伴い、農家が条件の悪い水田などでの耕作意欲を失った結果、遊休農地が発生したものと考えております。近年、水田の持つ県土の保全、水源涵養機能などの公益的な役割に対する県民の期待が大きくなってきている中、地域農業の振興を図るためには、遊休農地を有効活用することが必要であると考えております。 このたびの、国の法改正も、こうした動きに対応したものと考えておりますが、県としても、現下の米改革の状況を踏まえ、認定農業者や受託グループなど、水田農業の担い手の確保育成に努めるほか、特に、中山間地域など担い手の不足する地域に対しては、直接支払交付金を活用した農地の維持や共同作業を指導するなど、遊休農地の利用増進や発生抑制に努めてまいります。また、農業者みずからも、意欲と創意工夫をもって経営の改善に取り組み、米流通新時代に即応した経営を確立していくことにより、水田の有効活用が図られ、遊休農地化を防ぐことができるものと考えております。 また、水稲の飼料化については、水稲を家畜の飼料として利用することは、米の生産調整が拡大傾向にある中で、水田の効率的利用を図る上からも有効な手段であります。水稲のもみを発酵させたグレインサイレージは、畜産試験場の実証試験において、嗜好性が高く、牛の飼料として利用できることを確認しており、また、玄米については、国の試験では栄養価が高いなど、飼料としての一定の評価を得ております。しかしながら、これらを利用する場合は、トウモロコシや麦などを配合した飼料と比較して、価格が五倍程度と割高になることから、現時点で農家が経営に取り入れることは難しいものと考えております。このため、県としては、機械による作業体系が確立され、稲全体を利用することにより低コスト生産が可能なホールクロップサイレージへの誘導を進めながら、水稲の飼料利用の促進に努めてまいります。 また、途上国救援米輸送費に対する支援については、人道的な見地から無償で米を生産し、援助を行うなど、ボランティア活動を通じて社会に貢献しておられる方々には、深く敬意を表するものであります。自発的な市民活動が高まっていくことは、県と県民の協働による秋田づくりの原動力となっていくものと考えており、今後とも、ボランティアの基本である自主自立のもとに、活動を継続されるよう、御努力いただきたいと考えております。 五点目の林業振興についてでありますが、初めに、地域森林計画の推進については、森林法においては、国、県、市町村それぞれが森林計画を策定し、森林所有者は市町村の計画に基づき、自主的に森林施業計画を策定することとされておりますが、現在、民有林の八五%で森林施業計画が立てられております。また、森林所有者は、伐採や造林について事前に届け出ることが義務づけられており、その内容が森林計画に適合していない場合には、市町村長が勧告や命令を行うことができる制度となっております。このような制度のもとに行われる施業に対しては、高率の国庫補助事業が適用されることから、この補助事業を通じて森林計画に従った施業へ誘導するよう努めております。しかしながら、長引く材価の低迷等により、手入れの行き届かない森林も見受けられることから、県としても、初回間伐や間伐材搬出道などに対する独自の助成を行い、地域森林計画の実効性の確保に努めてまいります。 次に、県産材の一層の活用についてでありますが、秋田スギを初めとした県産材の利用を仕様書へ明記することについては、新年度から実施することとしており、あわせて、公共建築物の木造化のガイドラインをこの三月までに策定し、一層の県産材の活用を進めてまいります。 木造施設の建設費については、一定規模以上のものは、他の工法と比べて高額のものになっておりますが、今後は、シンプルな構造で一般に流通している木材を使用したり、設計や木材の調達に工夫を凝らすなど、できる限り経費を低減させるための方策についても研究を進め、特別枠によらなくても、公共施設の木造化が図られるよう努めてまいります。 なお、学童用の机やいすについても、来年度、木材高度加工研究所を中心に、家具製造業者や教育関係者を加えた研究会を立ち上げ、低価格化のための標準仕様書の作成と試作品の製作を行うこととしております。 六点目の商業振興についてでありますが、初めに、大規模小売店舗対策については、大型店の出店をめぐる政策については、国際化の進展と規制緩和の推進の流れの中で、大型店と中小商業者の利害の調整を行っていた大店法が廃止され、生活環境など地域社会との調和を図るための政策へと転換が図られております。転換後の制度については、複数の法律の適切な運用が求められており、具体的に申し述べますと、まず、改正された都市計画法は、特別用途地区を設定するなどのゾーニング的手法によって、市町村がみずからの判断で大型店の立地規制を従来より容易に行えるよう措置しております。 また、新たに制定された大規模小売店舗立地法は、個々の大型店の立地について、営業活動に伴って生ずる交通渋滞や騒音、廃棄物問題等が周辺の住民や商業者等に悪影響を及ぼすことのないよう、その設置者に十分な配慮と適切な対応を求めています。この制度のもとで、県は大規模小売店舗立地法に基づき、大型店の出店に際しては、市町村や住民、事業者、商工会議所等からの意見を踏まえ、設置者が生活環境の保持について必要な措置をとるよう、きめ細かく指導しております。特に、学校や病院等、特別な配慮が求められる施設の付近への出店に対しては、児童生徒の登下校時の交通安全の確保や入院患者に対する静穏な環境の保持等についても適切な対応を強く求めているところであり、大型店の立地が生活環境の悪化につながらないよう、今後とも指導に努めてまいります。 次に、中心市街地の商業活性化についてでありますが、車社会の進展や消費者意識の変化に伴い、郊外型の大型店の出店が増加し、これまで近隣住民に親しまれてきた地域の商店街が、地盤沈下していることは厳しい現実と受けとめております。しかし、全国屈指の高齢県である本県においては、地域の商店街は買い物のみならず、住民の触れ合いや情報交換の場として今後も必要なものでありますが、その活性化のためには、魅力ある店舗が集積し、快適かつ明るい雰囲気で買い物や食事、イベントなどを楽しめるといった、消費者のニーズに商店街がこたえていくことが重要と考えております。そのような商店街をつくり上げるため、県は各地で行われるまちづくりの計画策定、駐車場や休憩施設などの整備、高齢者等に配慮したスロープなどの整備、あるいはさまざまなイベントの実施、空き店舗の活用等に対してきめ細かな支援を行っております。また、認定を受けたTMO、いわゆるまちづくり機関が行う、中心市街地における商業振興を目的としたさまざまな活性化事業に対しても支援をしております。 今後とも、商店街と市町村が互いに知恵と汗を出し合い、個性的で独創的な取り組みなどにより、地域住民にとって欠かすことのできない、魅力ある買い物スポット、触れ合いの場として、それぞれの商店街が活性化されることを期待しております。 七点目の障害者支援費制度についてでありますが、平成十五年度からスタートする支援費制度を円滑に実施する上では、障害のある方が、住み慣れた地域で生活するために必要な在宅サービスを十分に受けられるようにすることが重要であると考えております。現在、ショートステイとグループホームについては、利用者の希望に対応できる見込みとなっており、ホームヘルプサービスについても、すべての市町村で提供することになっておりますが、さらに一層、これらのサービスが充実されるよう、事業者などに働きかけてまいります。 中でも、全身性障害者の買い物や社会参加に必要なヘルパーについては、早急にガイドヘルパーを養成するなど、さまざまな障害に対応した人材の育成とスキルの向上にも努力してまいります。 また、障害のある方が、自立した生活に必要な介護サービスを、みずから提供するために設置している障害者自立生活センターに対しても、引き続き、事業活動への助言や情報提供など、より活発な活動が展開されるよう協力してまいります。 私も一昨年、全国障害者市民フォーラムin秋田に出席いたしましたが、県内からの参加者を含む約三百名の重い障害のある方が、ボランティアの協力を得ながら、自立した生活を目指して、積極的に社会参加している姿に感銘を受けました。今後とも、障害のある方を初め、多くの方々の意見を伺いながら、ノーマライゼーションの理念を実現するため、必要な施策の充実に努めてまいります。 以上でございます。 ○議長(津谷永光君) 二十一番石田君の質問は終わりました。暫時休憩いたします。 △午前十時五十九分休憩 ---------------------------------------
    △午前十一時十五分再開      出席議員    四十一名     一番  加成義臣      二番  菅原龍典     三番  川口 一      四番  穂積 志     五番  安藤 豊      六番  伊藤昭二     七番  工藤任国      九番  大関 衛     十番  津谷永光     十一番  宮腰 誠    十二番  平沢健治     十三番  木村友勝    十四番  土谷勝悦     十五番  樽川 隆    十七番  小田美恵子    十八番  武田英文    十九番  金谷信栄     二十番  鶴田有司   二十一番  石田 寛    二十二番  小田嶋伝一   二十三番  加藤義康    二十四番  菅原 昇   二十五番  小番宜一    二十六番  冨樫博之   二十七番  原 盛一    二十八番  大野忠右エ門   二十九番  佐藤健一郎   三十二番  高松和夫   三十三番  工藤嘉左衛門  三十四番  野原多津美   三十七番  鈴木洋一    三十八番  大里祐一   三十九番  安杖正義     四十番  北林康司   四十二番  佐藤次男    四十三番  北林照助   四十四番  長谷部 誠   四十五番  藤原俊久   四十六番  辻 久男    四十七番  高久正吉   四十八番  柴田康二郎---------------------------------------     地方自治法第百二十一条による出席者          休憩前に同じ--------------------------------------- △午前十一時十五分再開 ○議長(津谷永光君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 日程第二、一般質問を継続いたします。二十番鶴田有司君の一般質問を許可することにして御異議ありませんか。     [「異議なし」と呼ぶ者あり] ○議長(津谷永光君) 御異議ないものと認めます。二十番鶴田君の発言を許します。     [二十番(鶴田有司君)登壇](拍手) ◆二十番(鶴田有司君) 自民党会派の鶴田有司でございます。私の一般質問も、今任期最後となりました。これまで、議員の皆様方、そして執行部の皆様方の御指導をいただきながら、おかげさまで二期六年を勤め上げようといたしております。私が初めて県議会議員に当選いたしましたころの県は、食糧費問題のさなかにありました。そこで私は、「県民に開かれた県政」がいかに重要であるかを常に心に持ち、その思いを皆様方に伝えながら、勤めることを心がけてまいりました。おかげさまで、この点につきましては、一定の成果を上げることができたのではないかと思っております。一方、同時にまた、国際系大学の問題など、県政における政治的判断の難しさを痛感する場面も多くあったというのが、正直な気持ちであります。 私は、今後の県政が一層発展し、県民の「秋田県民であることへの満足感」をさらに高めることができるようにさまざまな声を真摯に受けとめながら、自分をしっかりと見詰め直しながら一層の努力を積み重ねてまいりたいと思います。どうぞ今後ともよろしく御指導のほど、お願い申し上げます。 それでは、質問に入らせていただきます。 まず初めに、これからの公共政策のあり方について質問いたします。 これまで我が国の公共政策に対する考え方は、公共サービスについては行政が担当し、民間は携わらないという公私二分論があり、これが既存の法律や制度の裏づけとなっておりました。しかし、極めて厳しい経済・財政の状況下にあって、新しい枠組みのまちづくりを進めようとしている今、行政だけで公共サービスを実施していくのは困難であり、行政と民間の公私二分論という既存の構図にとらわれずに、お互いに連携して新しいまちづくりに取り組むという姿勢が求められております。仮に市町村合併が予定どおり実行されたとして、行政はそれによって住民サービスの質と効率を高めることを大きな目標の一つに掲げています。 しかしながら、これを実現するためには、一般県民の理解、協力とともに、県民に行政と一緒になってまちづくりに参加してもらうこと、地域を県民と行政が協働でつくっていくというムードに変えていくことが必要になってくるものと思います。しかし、一般県民の行政への依存が強いほど、合併により枠組みが変わり、サービスが低下することへの不安感だけを抱えてしまっている方々も多いのではないでしょうか。その意味で私は、このところますます活発になってきている民間の市民活動と行政が連携していくような県政の実現が重要だと考えております。 六年前の阪神淡路大震災において、政府が手続上の問題から、柔軟かつ機敏な行動ができなかったのに対し、NPOは、自主性を生かした献身的でスピーディーな救援活動により国民に高い評価とともに認知され、その追い風に乗って全国でも法人数が急激に増加し、活発な活動を展開しております。本県でも法人として認証されたNPOは、一月末現在で五十五にも上っており、現在申請中のものも含め、今後ますますその数とエネルギッシュな活動は進化、拡大して、市民の暮らしに大きく貢献していくものと思います。 私の地元であります横手では、NPOの設立や運営を支援する組織が県主導により設立されておりますが、そのほかにもう一つ、横手平鹿NPOセンターが市民によって設立され、多くの市民の積極的なかかわりにより、さまざまなNPO活動の可能性について検討がなされております。例えば、横手は「山と川のある町」として有名ですが、市内を流れる横手川のほとりに桜を植えることを目的とした横手川千本桜をすすめる会が既に結成され、活動を開始しておりますし、郊外への大型店進出により元気がなくなってしまった旧市街地を活性化するために、会員が一日一回はそこを歩こうという、まちなかにぎわい創出NPOというユニークなものまで登場しており、こちらは今月中に結成すべく、本格的な準備が進められております。 このような活動や取り組みからもわかるように、NPO活動は、行政が手をかけられない部分を補完しており、本県が掲げる大きなテーマでもある福祉、観光、生涯教育の分野の充実についても、行政がNPO活動と連携することなしに語ることはできません。 兵庫県宝塚市や大阪府箕面市では、市民参加条例を制定しております。この条例は、行政活動に市民が参加することを通じて自治体と市民の関係を再構築しようというのが目的であります。行政の施策を立案し、決定するための土台づくりの過程から評価の段階まで、市民がさまざまな形で参加するというものですが、本県でも、この例を参考にしながら、その可能性を協議、検討する必要があると思います。 また、最近は、男女共同参画社会基本法の制定にもあるように、市民参加条例の参加という言葉は、実質的には参画という表現のほうが適切になってきました。その区別は、参加が、ただ仲間に加わるという意味であるのに対し、参画は、企画や決定のすべての段階において主体的、積極的に参加し、その意見を反映させていくこととされており、より積極的なかかわりを指すものと考えられます。その意味では、本県も県民参画条例の制定もしくは制度化で、より発展させてはいかがでしょうか。 あきた21総合計画の第二期実施計画にも、施策として「ボランティア・NPO活動の促進と県民参加の仕組みづくり」が挙げられており、県も今後は今まで以上に支援体制をとられる計画のようですが、このNPOなどの市民活動に今まで以上に重きを置き、その位置づけを明確にしていくことが必要でありますが、あわせて、県民が公共政策や行政活動への参画意識を高めるための方策も明確にする必要があるのではないかと考えますが、この点に関し、いかがお考えか、知事にお伺いいたします。 次に、ただいま触れましたように、これからは行政とNPOを中心にした民間との連携が必要で、県はその仕組みづくりをしていくことが急務と考えられますが、NPOなど民間へのアウトソーシングによる育成策についても考えてみたいと思います。最近では、このアウトソーシングという言葉は、従来の外部委託としての単なる業務の代行、もしくは請負に加えて、行政・公共サービスの質を高め、充実させていくための、より高い戦略性が新たに加わってきているようであります。つまり、行政環境の変化により、アウトソーシングが、自治体間の競争力強化の手段としても、積極的な意義を持つようになってきているように思います。これまで競争という考え方は、中央省庁や自治体を問わず、行政機関にはなじみにくかったものですが、今後は、行政サービス、公共サービスの品質と機能の充実など、あらゆる行政活動にこの競争の原理が求められてくることは言うまでもありません。 私は、この戦略的なアウトソーシングの一つに、NPOとのパートナーシップ、すなわちNPOと行政の協働がNPOの育成につながりますし、ある面では、雇用の創出につなげていくことができるのではないかと考えております。 他県における例を見てみますと、埼玉県志木市では、高齢化社会の到来による歳入減と必要経費の増大に対応して、市と市民が協働して運営する自治体を構築するため、市が行う事業や施設運営について、市の職員と市民の有償ボランティア、すなわち行政パートナーのそれぞれに役割を区分して市政運営を図っているという実例があります。民間活力を積極的に活用した市政運営は、市民の市政への参画意欲を向上させているようであります。 また、群馬県太田市では、図書館などの公的施設の管理運営業務や市役所の窓口業務の一部をNPOに委託し、市の職員と同一の業務を行政パートナーであるNPOの人間が対等な立場で運営しているという例もあります。 宮城県では、二〇〇〇年に宮城県民間非営利活動促進基本計画を作成し、「NPO花ざかりのみやぎ」を提唱いたしました。そして、NPOへのアウトソーシングを推進するために、二〇〇〇年度にNPO推進事業発注ガイドラインを作成し、NPOが実施することが適切であると認められる事業を選定し、委託する方向に進んでいるといいます。 このように、NPOはさらに成長し、有償のボランティアスタッフが増加することが見込まれ、雇用の創出にもつながっていく可能性も秘めているのではないかと思います。このNPOと行政のパートナーシップによる連携を見据え、さらに踏み込んだ具体的な政策が必要だと思いますが、県の方針や考え方をお伺いいたします。 次に、高校新卒者の就職について質問いたします。 高校新卒者の就職状況は超氷河期と言われるように、現在の厳しい経済環境が背景にあり、採用そのものを手控える企業がふえていることは、まことに残念なところであります。 ところで、県内就職率は年々低下傾向にありますが、フリーターを含む就職準備者がふえている現状は憂慮すべきことではないでしょうか。こういった高校新卒者の就職の現状について、県はどう見ているのか、教育長にお尋ねいたします。 また、最近は、新卒就職者の約半数が、就職三年を待たずに転職を希望し、やめてしまう就職ミスマッチ現象が起きているようですが、これに対して、進路指導をする上で、県はどのような対応策を考えているのか、あわせてお伺いいたします。 人件費を抑制するために、企業側が一時的な日雇いや短期アルバイトといったフリーターとしての勤務を求める場合もありますし、若者の中には、企業などに拘束されたがらないフリーター志向があるのも現実でありましょう。しかし、これも、高校新卒者など若年の間はよいとしても、彼らが結婚適齢期になったときに、結婚せず、子供も生まずといった状態であるとしたら、結果として労働力、労働人口が衰退し、歳入減を加速させるものと危機感を抱くものであります。確かに、各人の職業選択には自由が保障されておりますが、将来を考えた場合、こうしたフリーター志向は防いでいくべきものと考えるのですが、県はどのような対応策を考えておられるのか、教育長にお伺いいたします。 就職ミスマッチ現象、フリーター志向などの現状は、社会が転換期を迎えていることを裏づけるものでしょうが、また違った見方をしてみると、仕事には、適材適所という言葉がありますように、それぞれが持つ可能性を最大限に仕事に生かす場が存在することにより、労働の意欲も向上するものだと考えています。そして、その可能性を確固たる技能にするためには、体系的に学ぶ機会と場が必要とされると思います。そのために、私は、テクノスクールや技能センターを初めとした技能訓練、修得機能の再構築構想を提案するものであります。 県内のテクノスクールは、平成十七年四月から、横手技術専門校が大曲技術専門校に整備統合され、県内三スクール体制になることが決定されておりますが、所在地から遠方の生徒であっても、わざわざそこに通学し、学びたくなるような魅力的な存在にしていく必要があると思います。例えば、カリキュラムの中に起業家育成コースといった、独立心の強い現代の若者を育てていくためのメニューがあってもよいでしょうし、彼らの企画発想力をビジネスにつなげていくための専門的な指導があってもよいでしょう。県は、このテクノスクールの位置づけと将来性について、どのような構想を持っておられるのかお伺いいたします。 また、県内各地区にある技能センターは、社会人のための職業能力向上を目的とした指導研修機関とされておりますが、実態としての効果、貢献を考えると、まだまだできることは多くあるのではないかと思います。勤めながら、地元の技能センターで学ぶことに多くの社会人が意義を見出せるような、興味や関心に基づいた技能の修得を推進する受け皿としての位置づけにしていくなど、技能センターを戦力化し、より一層強力化することが必要だと考えます。現実的には、名称だけ存在し、機能していないセンターもあると聞きます。県は、この技能センターの果たすべき役割について、どのような考えを持っておられるのか、お尋ねいたします。 次は、建設業界の不況対策について質問いたします。 本県の主要産業の一つである建設業界は、今、不況のどん底にあります。公共事業の抑制策だけではなく、民間からの受注も激減したところに加え、県外大手建設業者のなりふり構わぬ安値攻勢の打撃を受けて、本県の経営の体力が十分ではない建設業者は、廃業または倒産に追い込まれており、その予備軍も、かなりの数に上ると見られております。旧態依然とした財務・労務管理、コスト感覚の甘さなど、経営の近代化に乗りおくれている企業の存在も一部にあるようであり、建設業界には改めなければならないところも確かにあると思います。しかしながら、建設業界の本県に果たしてきた大きな役割も考えた上での対応策を図る必要があると思います。 一つは、雇用の場を確保してきたことであります。調査によりますと、本県の建設業従事者の数は約五万八千人で全産業の一三%を占めており、八人に一人が建設業に就業していることになります。中でもバブル期に新規就業者が減少した影響で、現在三十歳代の割合が少ないものの、業界一丸となった待遇改善が功を奏し、その後の新規就業者、つまり現代の若者の数はふえているほか、高齢者の雇用割合の大きさ、その高待遇も実現されており、現在、本県の建設業界の果たす役割は大きいものがあります。 二つ目は、本県の建設業界は、これまでの厳しい環境の中で、本県の住宅、社会資本の整備に積極的にかかわってきたことであります。 三つ目は、県民総生産で占める割合の大きさです。平成十二年度の数字ではありますが、建設業界は四千六百億円余りで、県民総生産の約一二%を占めており、県の経済に大きな影響を与えております。 昨年十二月議会において、知事も「建設業の経営環境が厳しい上に、個人消費についても回復感が見られず、住宅建設は六カ月連続で前年同期を下回っている」と認めておりましたが、その後、具体的な支援など、どのような対応策を考えているのか、お伺いいたします。 財政的には、公共事業の抑制が迫られておりますが、それでも今後、老朽化した学校の建設やインフラ整備など、最低限度実行していかなくてはならない事業も少なからずあります。その際に、地元業者への発注を基本とすることを最大の期待とするものであります。それも、できるだけ多くの業者がかかわれるように、現在の仕組みやルールを見直す必要もあると思います。聞くところによりますと、現在の制度では、事業予算が二十二億二千万円以上の超大型物件には、WTOに抵触するという理由から、中央のゼネコンがかかわることが条件とされているようであります。しかし、下請企業へのすそ野の広がりが大きいと言われている建設業にあって、中央のゼネコンが受注した場合には、下請の大半が地元以外の業者で占められており、たとえゼネコンから発注があっても、中央の一次下請の下、いわば孫請の場合が多く、厳しい予算の中での対応を強いられているのが現状であります。このように、県経済が極端に停滞している状況にあっては、何を差しおいても地元企業が優先的に受注できる環境をつくるべきであり、このたび、県南の中高一貫校で実施していただいたように、事業の分割や事業年度をずらすなどの工夫も、当然あってしかるべきであります。また、発注に当たっては、地域経済の活性化や雇用の安定を踏まえたものでなければならないと考えるものであります。これらについての見通しと、今後への考え方をお伺いいたします。 次に、農業間題について質問いたします。 まず初めに、果樹振興についてでありますが、私の地元である横手平鹿地区は、県内最大規模の果樹生産地域であります。昨年の雪害によりまして、リンゴ農家は大打撃を受けております。その様子を数字で示してみたいと思います。JA秋田ふるさとによりますと、現在までのところの集荷は、二十キログラムの木箱に、六十二万七千箱でした。これは、前年対比九九・八%という数字であります。そのうち、主力品目である「ふじ」は、三十七万二千箱の集荷でありますが、そのうち、実に三分の一に当たる十二万箱、二千四百トンが、雪害により廃棄される見通しとなっております。販売についても悲惨な状態で、販売計画としては、二十五億八千万円を見込んでおりましたが、三月末見通しは十六億六千八百万円で、九億一千二百万円もの減収になる模様であります。さらに、この二千四百トンものリンゴを廃棄する場合、概算ですが、一日八トンを処理する横手平鹿広域環境保全センターの場合、一年半もの時間を要し、しかもその費用は、他の処理施設と分けても、約二千三百万円かかる計算になります。ただでさえ地元産のリンゴの消費が低迷している中、このままでは、産地形成も危ぶまれる現況で、産業としての存亡の危機にあり、果樹農家の生活を脅かす事態だと言えます。果樹の産地形成を守るためには、積極的な支援策が必要と考えます。こうした現状で、県として、果樹農家への補助金、貸付金の利子補てんなど、資金面の支援策はどのように考えておられるのかお尋ねいたします。 また、同時に講じていく必要があるのが、地元産果樹の低迷する消費対策であります。聞くところによりますと、リンゴをカットして加工するカットリンゴは、最近スーパーなど小売店で注目されているようであります。また、リンゴジュースの生産拡大という方向も考えられるでしよう。市場のニーズに合った「売れる物」へのシフトも、県としては指導・支援していく必要があると思います。果樹の消費拡大及び販売促進への対応策、加工に対する技術修得や施設設備のための支援策について、県はどのように考えておられるのか、お伺いいたします。 次に、米問題についてですが、米の消費が低迷している事実については、改めて触れる必要はないと思います。県と国、各自治体の施策により、米農家が自助努力し、JAの指導・協力を受けながら、新しい米づくりに挑戦している現状からは、必ずや、どこへでも誇れる秋田県産米と、その販売拡大の方法が見えてくるものと期待しております。今回は、全国的にも導入され始めた学校給食の地産地消の可能性について触れてみたいと思います。 学校給食に地元産の米や野菜を食材として使い、地域の食文化や農業を学ぶ機会をふやすというのが、農水省が推進する地産地消の考えであります。事業を行う県や市町村、生産組合、JAなどに補助金を支給し、支援する事業が、この四月から五年計画で始まるといいます。地元産の食材の消費拡大につながるばかりでなく、私は、子供たちが、地域の食文化や農業を見詰める絶好の機会と考えており、本県でも、積極的に推進していくべきだと考えております。 ところで、この学校給食ですが、これまでの対象は小・中学生とされておりますが、これを高校生にまで対象を拡大するというのはいかがでしょうか。社会が転換期を迎え、住民の考え方やニーズも大きく変わってきている今、何事にも発想の転換が求められると思います。学校給食は小・中学校のものという固定概念を捨て、その新たな可能性について検証していく必要があると考えるのであります。 私の地元横手市の学校給食センターは、現在、そのキャパシティーがいっぱいの状態であります。ところが、平成十六年度には、中高一貫校が開校する予定となっております。現在のところ、その中学校には給食があり、新たな給食センターを設置する計画と聞いております。しかし、高校には設けない方向で検討が進んでいるとのことですが、ちょうどよい機会なので、実験的な意味を持たせながら、ここを初めとした指定校で、高校への給食の可能性を検討してみてはいかがかと思います。現代は、若年層を中心とした食生活の乱れがたびたび指摘されております。食の大切さについては小・中学校でも指導しておりますが、それを高校まで対象を広げることは、健全な食生活が保たれるための方法にこそなれ、決してむだなことであるとは思いません。また、生産者側も、安全で安心な生産のために、いま一度その方法を見直してみるきっかけにもなるのではないでしょうか。学校給食への地産地消の導入をさらに一歩進めた私の提案ですが、県はどのように考えておられるのか、お伺いいたします。 最後に、本県の観光政策について質問いたします。 横手にある秋田ふるさと村は、この春、開村十周年を迎えます。入村料を無料にするという大胆な決断が功を奏し、最近では、オープン時をしのぐ入村者数となっております。県のこうした柔軟な決定に、地元を代表して感謝申し上げたいと思います。 県の観光政策として、角館町、スキー場を含む田沢湖高原などを、広くレジャー施設としての観光地にしようとしていることは理解できます。また、県北においては、県北地域振興班を設置して、県北地域観光振興プランにより、総合的な観光拠点の準備のために委員会が設置されたことも、高く評価できることだと思います。しかし、本県の観光の育成のためには、県北、中央、県南という地域に分割されたものではなく、それぞれの地域の結びつきを強化していくプランが必要だと考えます。 進んでいくべき方向としては、あきた21総合計画にもありますように、交流を核にした地域づくりであり、これに基づいて、交流の基盤となるインフラ整備を進めていかなければならないと思います。県の掲げる施策に、海外との交流の促進、都市と農山漁村との交流の促進、道路等の交流基盤の整備がありますが、質問の第一点目は、県北地域観光振興プランは、中央、県南でも同等に行われるべきと思いますが、いかがでしょうか。 次に、広域観光ルートを実現していくための考えについてお尋ねいたします。本県では、日本海沿岸東北自動車道、東北中央自動車道の整備促進並びに秋田中央道路整備事業の推進が掲げられており、現在、その実現に向けて進められております。しかし、こうしたいわゆる幹線道路の整備につきましては、これまでどおりに進めるとして、私は、交流を核とした地域づくりの実現を考えた場合、この幹線道路の整備に加えて、観光の拠点を結ぶ広域観光ルートを整備し重点路線化することも、同時に必要になってくると考えます。例えば、県南と県北の観光拠点を結ぶ道路と幹線道路が対角線上に交差し、結ばれるルートがあれば、広域観光ルートが実現し、県南、県北の人間がそれぞれの地域を距離的に遠いと感じるイメージも解消され、相互の交流が活発化し、人の交流を通して文化の交流も促進できます。加えて、このルート実現による時間的な距離短縮は、県外からの観光客にとっては、県内の観光が一度にできるというメリットを持たせることも可能となります。それぞれの地域の伝統や文化を持ちながらも、「秋田県は一つ」というイメージを定着させることは、本県の観光の売りを県内外に強くアピールできるものと確信しております。そのために、現在建設中の横手と田沢湖を結ぶ奥羽山麓大規模農道を、横手と増田を結ぶ東部広域農道と鹿角八幡平と田沢湖を結ぶ国道三四一号につなげて、対角線的に交差させる全県的な広域観光ルートを実現させる必要があると考えるのです。 従来、農道とは、あくまでも農産物の流通をよりスムーズにするためというのが本来の意義なのですが、これをルートとして利活用していくために、重要な幹線道路として位置づける必要があり、本来であれば、あきた21総合計画にもうたうべきであると考えます。奥羽山麓大規模農道につきましては、平成十九年度の秋田わか杉国体に向けて完成を目指すと言われておりますが、その建設の一部については、地元自治体の持ち分とされており、財政が逼迫している現況下、果たして実現できるのだろうかと、地元としては大きな不安を抱いているのが現実であります。県の構想及び今後の考え方をお伺いいたします。 なお、これに関連し、昨年十二月のJRのダイヤ改正に伴い、秋田新幹線と在来線の連絡が悪くなったのではないかとの声が聞かれますが、現実はどうなのか、また、日ごろJRへの要望はどうなされているかお伺いいたします。これも本県の観光に大きく影響を与えることだけに、JRとの今後の連携についてもお聞かせ願います。 以上をもちまして、私の一般質問を終えさせていただきます。御清聴、どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(津谷永光君) 県当局の答弁を求めます。     [知事(寺田典城君)登壇] ◎知事(寺田典城君) 鶴田議員の御質問にお答えいたします。 最初に、今後の公共政策のあり方についてでありますが、初めに、NPOなど民間の市民活動と行政の連携については、住民のニーズが多様化している中で、NPOには、公共サービスの新たな提供主体として大きな期待が寄せられております。本県においても、NPO法人数は着実に増加しており、福祉・保健の分野だけでなく、まちづくり、環境の保全など県民生活のあらゆる場面で活動、活躍し始めていることに、心強さを感じております。来年度から第二期実施計画が始まるあきた21総合計画では、県民参加型行政を強力に推進することとしており、従来の行政主導型システムを改め、ボランティア、NPOを初めとする多様な主体によるパートナーシップの確立を目指すこととしております。このため、県民との協働によるプロジェクトとして秋田の可能性を切り開く県民の夢創造・パートナーシップ・プランを推進するなど、県民とのコミュニケーションを深める取り組みを充実強化し、政策形成過程を含めた情報公開を徹底しながら、パブリックコメント制の導入を初めとする県民との合意形成に努めてまいります。 また、来年度から、コミュニティー活動推進チームを設置し、地域の課題の解決に向け公共サービスを提供できる住民団体の形成を促し、官民協働でのコミュニティー・ビジネスの仕組みづくりを進めることとしております。特にNPOについては、その中核的な役割を担うことから、昨年十一月に、ボランティア、NPO活動の支援拠点としてオープンした遊学舎において、大館市と横手市に設置したNPOサポートセンターと連携をとりながら、相談・コーディネート機能を充実させ、インターネットによる各団体の活動内容の紹介や支援情報の提供を行う市民活動情報ネットを稼働させるほか、出前講座やフォーラムの開催、ガイドブックの作成等による普及啓発活動により、県民の社会活動への参画意識の醸成を図ることとしております。 次に、NPOへのアウトソーシング等についてでありますが、第二期行政改革推進プログラムにおいても、行政システムのスリム化や、県民サービスの向上が見込めるものについては計画的に業務の外部委託を推進することとしておりますが、その受け皿として、多様なニーズに柔軟に対応できるNPOとの連携・協働の推進を図ることは、重要であると考えております。県ではこれまでも民間施設のバリアフリー化に向けた相談活動や、NPOサポートセンターの運営、市民活動情報誌の発行などの事業をNPO法人に委託してきましたが、さらにこうした協働事業の分野を広げ、統一的なルールのもとに推進するため、協働に関する基本的な考え方や、アウトソーシングも含む多様な形態などを盛り込んだ行動指針を今年度中に策定することとしております。今後は、この指針をもとに、NPOとの対等な関係や自主性を尊重しながら、具体的な協働事業などを取り込んだ行動プランを策定し、全庁的な取り組みを積極的に推進するとともに、より住民生活と密接なかかわりがある市町村に対しても、NPOとの協働により、きめ細かな公共サービスが提供できるよう働きかけてまいりたいと考えております。 また、NPO活動の活性化や運営基盤の安定化のため、NPO法人に対する県税の課税免除に関する条例や、支援助成金の拡充措置などを講ずるほか、引き続きNPOへの融資制度創設の検討など、活動を支える環境整備にも努めてまいります。 二点目の社会転換期における雇用をめぐる諸課題についてでありますが、初めに、テクノスクールの位置づけと将来性については、テクノスクールの愛称で呼ばれている県立技術専門校においては、これまで、建築施工や機械加工、自動車整備など、手に職を持つ技能者の養成を中心として、県内産業界が必要とする職業人材の育成に取り組んでまいりましたが、サービス化の進展やIT活用の広がりなどに伴う人材ニーズの多様化に対応するため、随時、訓練コースの見直しなどを行っており、最近十年間でも、情報システム科、オフィスビジネス科、メカトロニクス科を新設しております。平成十七年、大曲市に開校を予定している県南技術専門校においても、より多くの資格取得が可能となる高卒二年課程に訓練コースを拡充強化するとともに、新たな科目として色彩デザイン科を加え、時代にマッチした魅力ある技術専門校としてオープンしたいと考えております。 一方、修了生の中には、みずから事業を起こす人も想定されますので、今後、各訓練コースにおいて、経営管理などに関するカリキュラムの充実を図ることとしております。 県立技術専門校の運営については、今後とも技能者の養成を基本としつつも、こうしたニーズの変化に対応し、柔軟に訓練コースやカリキュラムの見直しを行ってまいりたいと考えております。 次に、技能センターの役割についてでありますが、技能センターは、中小企業が共同して設置した社員に対する職業訓練施設であり、県内各地に二十カ所設けられております。これらの技能センターにおける職業訓練の実施状況は、平成十四年度実績見込みで十五科二百五十五コース、約五千人となっており、中小企業のこうした地道な職業能力開発の取り組みは、企業社員の能力向上はもとより、技術の継承や技能者の育成に大きく寄与しており、地域産業の振興を図る上で欠くことのできない重要な役割を担っていると考えております。県では、このような取り組みに対して、認定職業訓練補助金によりその経費の一部を助成しておりますが、今後はこれまでの事業に加えて、ニーズの変化に対応する新しいカリキュラムの開発や業界ごとの新たな取り組みを促すなど、この制度を活用した効果的な人材育成を進めてまいりたいと思います。 三点目の建設業界の不況対策についてでありますが、建設産業が厳しい経営環境に直面する中、県内においてもこれまでにないペースで建設業者の倒産が発生するなど、県経済にも深刻な影響を与えております。こうした状況のもと、県としては、県内業者への優先発注やJV発注の積極的な活用による受注機会の確保を図るとともに、合併等による経営基盤強化を支援するなど、技術と経営にすぐれた建設業者を育成するための施策を講じております。また、新分野・新事業への進出を支援するため、関係部局が一体となり、県内建設業者を対象とした建設業支援総合説明会・相談会を県内八地方部ごとに開催し、経営や金融を含む総合的な説明を行い、個別の相談にも応じてまいりました。今後とも、建設産業の置かれている状況に十分配慮し、県内業者への一層の受注機会確保に努めてまいります。 四点目の農業問題についてでありますが、初めに、果樹の振興施策については、このたびの県南を中心としたリンゴの被害対策としては、園地の復旧を図るため、苗木や支柱など改植にかかわる資材費に支援することとしております。また、融資面でも、今後の営農に支障を来さないよう、農林漁業金融公庫資金について、農家段階での金利が〇・一%となるよう助成するほか、当該資金の対象とならない方に対しては、県単資金による〇・三%の低利融資と、債務保証料の軽減措置を講じてまいります。 低迷する消費への対応策としては、全農あきたやJAと一体となり、首都圏や県内の量販店等における青果物フェアや、観光事業と連携したキャンペーン等を実施し、なお一層の販売促進に取り組んでまいります。また、生食用としてだけでなく、加工品としての需要拡大も重要であることから、総合食品研究所において、企業向けの新技術導入の研修や、生産者みずからが取り組めるような簡易加工技術の入門研修などを引き続き実施するとともに、生活習慣病を抑制する効果を増強した飲料など、リンゴの持つ機能性に着目した商品開発を進めてまいります。こうした対応に加え、加工に積極的に取り組む場合は、関連施設の整備に対して、各種融資制度や補助事業により支援してまいります。 五点目の本県の観光政策についてでありますが、初めに、地域の結びつきによる観光振興プランについては、県内には、磨けば光る観光資源が豊富にあることから、地元の方々とともに魅力アップを図ることが、観光振興に効果的であると考え、県北地域と田沢湖角館地域に現地振興班を設置し、観光振興プランの策定や、観光ネットワークづくりなどに取り組んでまいりました。また、他の地域においても、新たな観光ルートの開発や二次アクセスへの対応、観光と物産のネットワークづくりなど、独自の取り組みが芽生えており、特に、鳥海地域や栗駒地域、横手・北上地域では、それぞれ隣接する山形県や岩手県などと、県境を越えた広域的な連携による観光振興を図っております。県としては、それぞれの地域の自主的な取り組みに対し、適切な支援策を講じるとともに、県、市町村、観光団体などが一体となって、各観光地間のネットワークづくりや、広域的なルートの整備などを積極的に推進してまいりたいと思います。 次に、広域観光ルートの整備についてでありますが、国道や高速道路などの幹線道路だけでなく、地方道や広域農道も県内の主要な観光地を結ぶ観光ルートとして重要な道路であると考えております。御質問の奥羽山麓大規模農道についても、真木渓谷や真昼岳、田沢湖抱返り県立自然公園など、自然景観に恵まれた地域へのアクセスが容易であり、観光客が自然の豊かさを満喫しながら県内の観光地を快適に周遊することができる魅力的な観光ルートになり得るものと思われます。この農道整備事業につきましては、平成十四年度からは、トンネルや橋梁など難工事区間である横手工区に着手しておりますが、その一部である横手市道についても、本事業の完成年度である平成十九年度の同時期に開通できるよう十分協議してまいります。 次に、JRとの連携についてでありますが、県では毎年、県内各市町村のダイヤ改正についての考え方を取りまとめて、JR東日本に要望しております。「こまち」と在来線との乗り継ぎでは、列車によっては待ち時間が増加したものも見受けられますので、これらの乗り継ぎ等が円滑に行われるよう、今後ともさまざまな機会を通じて要望してまいります。     [教育長(小野寺清君)登壇] ◎教育長(小野寺清君) 鶴田議員から御質問のありました教育問題三点についてお答えいたします。 一点目の高校新卒者の就職状況等についてでありますが、厳しい就職環境の中、各学校では、年度当初から、同窓生等人的ネットワークを活用した職場開拓や、インターネットを利用した求人情報の収集などさまざまに取り組み、現在も秋田労働局や県雇用対策室等関係機関と連携をとりながら、校長が先頭に立って、就職支援を行っております。秋田労働局調査による平成十四年十二月末現在の就職内定率は六〇・七%でありましたが、平成十五年一月末現在、各学校からの報告によりますと、定時制を含む公立学校では、公務員、縁故内定者を含む就職内定率は七四・九%となっております。しかし、就職未内定者は約八百八十名おり、そのうちの約九〇%の生徒が、県内就職を希望しながらもかなえられない状況であります。このことは、フリーター増加の主要な要因ともなっており、非常に残念なことと考えております。 また、企業が即戦力を大学生等に求めることからも、高校生の求人は、ますます減少してきております。 これらのことから、必ずしも希望どおりの職場に就職できないというミスマッチなどにより、早期離職に結びつきやすい傾向にあることも事実であります。こうした課題に対応するため、職業講話や職場見学を充実させるとともに、来年度からは、就職を希望する二年生全員、約四千人を対象としたインターンシップなど体験活動を充実させ、社会の実態に触れるとともに、生徒の主体的な職業選択能力の育成を図ります。また、即戦力となるようコンピュータ技能や語学力など、社会に出てすぐに役立つ実践力の一層の向上にも取り組んでまいります。 二点目のフリーター志向への対応策についてでありますが、高校卒業までに就職を決定できずに、フリーターとして扱われる生徒が増加傾向にあることを、県教育委員会としても深刻に受けとめております。いわゆるフリーター志向と言われる就職未内定者の多くは、本心では強く就職を希望しており、学校でも就職支援を継続しているところであります。中には、大きな夢を追い、アルバイトをしながらでも夢をかなえようと頑張る生徒も若干おります。しかしながら、将来の進路を定められず就職を決めかねている生徒や、子どもを手元から離したくないこともあり、フリーター志向を容認してしまう保護者もおり、学校では、高校卒業という自立心を育てる絶好の機会を逸してしまうことで、生徒やその親の指導に苦慮するようなケースも見られます。このようなことから、早期から職業観、勤労観を育成するとともに、これまで取り組んできた職場見学等に加えて、応募前に生徒みずからが選択した企業を見学できるオープンハウス事業などを活用して、進路意識を高揚してまいりました。さらに、来年度からは、インターンシップやボランティア活動など体験活動も一層充実させ、働くことの意味や、職業を持って自立することの大切さなどについて、生徒の理解を深め、早期離職やフリーター志向を防止するよう努めてまいります。 なお、保護者を対象とした職業講話等を実施し、厳しい就職状況についての認識や、子どもの自立に対する親としてのかかわり方、親子関係のあり方等についても、保護者の理解が一層深まるよう、積極的に取り組んでまいります。 三点目の高校への学校給食の導入についてでありますが、本県ではこれまで高校生に対しては、義務教育でないこと、食生活については自立を求められる年代であることなどから、夜間定時制で学ぶ高校生を除いては、一律に提供する学校給食の対象とはしてまいりませんでした。県南地区の中高一貫教育校の給食施設では、中学生分と、以前より完全給食の実施について強い要望があった横手養護学校分とを合わせて約四百名分を提供する共同調理方式にしております。 議員御提案の同校高校生へ給食を実施した場合、中・高校生が同時に会食することで一体感が一層醸成されること、地場産品の消費拡大に寄与すること、給食のメニュー改善等に高校生の企画や提案を生かせることなど、学校給食にインパクトを与えることが考えられます。しかしながら、この趣旨を実現するためには、新たに六百名分の給食施設等に約一億円の初期投資を要する上、恒常的な人件費等に年間約一千四百万円が見込まれることなどから、極めて大きな負担が考えられます。また、これまで生徒の利便性を考えて開設してきた学校食堂も、周辺のコンビニ等で販売される豊富なメニュー、手ごろな価格の昼食に移り、利用者が減少しつつあります。このように、食事に対する考え方や好みが明確化している高校生に対する学校給食の実施は、課題が多く、難しいものと考えております。 県教育委員会といたしましては、若年層を中心とした食生活の乱れについては重大な問題と認識しており、小・中学校ではこれまで同様、安全・安心の視点から地産地消を一層推進し、学校給食を食に関する指導の場と位置づけるとともに、高校では、男女必修となった家庭科の授業の充実や、生活習慣病の検査結果などを活用しながら、望ましい食生活の指導について積極的に取り組んでまいります。 以上であります。 ○議長(津谷永光君) 二十番鶴田君の質問は終わりました。 暫時休憩いたします。 △午後零時十分休憩 --------------------------------------- △午後一時三十分再開      出席議員    四十名     一番  加成義臣      二番  菅原龍典     三番  川口 一      四番  穂積 志     五番  安藤 豊      六番  伊藤昭二     七番  工藤任国      八番  栗林次美     九番  大関 衛     十一番  宮腰 誠    十二番  平沢健治     十三番  木村友勝    十四番  土谷勝悦     十五番  樽川 隆    十七番  小田美恵子    十八番  武田英文    十九番  金谷信栄     二十番  鶴田有司   二十一番  石田 寛    二十二番  小田嶋伝一   二十三番  加藤義康    二十四番  菅原 昇   二十五番  小番宜一    二十六番  冨樫博之   二十七番  原 盛一    二十八番  大野忠右エ門   二十九番  佐藤健一郎    三十番  中泉松之助   三十三番  工藤嘉左衛門  三十四番  野原多津美   三十七番  鈴木洋一    三十八番  大里祐一   三十九番  安杖正義    四十二番  佐藤次男   四十三番  北林照助    四十四番  長谷部 誠   四十五番  藤原俊久    四十六番  辻 久男   四十七番  高久正吉    四十八番  柴田康二郎---------------------------------------     地方自治法第百二十一条による出席者          地方労働委員会会長職務代行者      古田重明          他は休憩前に同じ--------------------------------------- ○副議長(長谷部誠君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 日程第二、一般質問を継続いたします。一番加成義臣君の一般質問を許可することにして御異議ありませんか。     [「異議なし」と呼ぶ者あり] ○副議長(長谷部誠君) 御異議ないものと認めます。一番加成君の発言を許します。     [一番(加成義臣君)登壇](拍手) ◆一番(加成義臣君) 私は、社会民主党会派を代表して、知事に対し県政の諸課題について質問をいたします。 初めに、知事の政治姿勢についてお伺いいたします。 私がきょう取り上げようと思うのは、昨年秋の定例記者会見における、知事の「国際系大学などで、私と意見が一致した人たちは応援したい」とする発言についてです。当日の知事発言の要旨と、新聞に載った記事を要約するとこうなります。「私と同じ考え、方向性を持った人たちを支援することは必要。特に国際系大学や男女共同参画社会の推進、環境政策の推進などで、同じ考えを持った人を応援したい」と。また、別の新聞では、「私の意見に合っている人はできるだけ応援したいと思う。物議は醸すだろうが……」と発言したとされています。新聞はこれに関連して、「県政の与党、野党にかかわらず、県議選では自身の政策に賛同する候補者を応援する考えを示した」としています。 私が、こう述べると、恐らく知事には、記者会見での発言を新聞がどう書くかまでは責任を持てないという思いがするでありましょう。しかし、知事という極めて責任の重い立場にある人の発言は、その真意がどうであったかよりも、その発言内容を人々がどう受けとめたかが重要であると思います。確かに、現代社会においても、政治の世界は、敵味方論になじみやすい世界であります。厳しい選挙戦を戦い抜き、かつ政策実現のため日夜苦闘を続けている知事の心情を理解できないこともありませんが、知事には、選挙によって選ばれた政治家としての側面と、選ばれた後には、県民の知事、県行政の長としての側面があります。そして、後者においては、とりわけ公平公正が要求されることは、私が言うまでもないでありましょう。知事の発言は、確かに近く行われる県議選に関して行われたことでありますが、たとえ野党の議員であっても、その背後には一万人からの有権者-県民のいること、そしてまた、議員のみならず個々の有権者-県民レベルでも、知事が打ち出す甲と乙の政策には賛成でも、丙の政策には反対であることなどはむしろ普通であることなどを考え合わせると、知事の発言は、県行政の公平公正さに疑問を抱かせるおそれがあったと、私は思うものであります。 知事も、政治的行動者として、各種選挙において支援をする政治家やグループがあってもいいし、あるのは当然と思いますが、それを行政の長として、行政の公正さを疑わせるような形で公言すべきではないと存じます。寺田知事は、百十七万県民全体の知事であります。私は、知事に聖人君子たれと求めるものではありませんし、知事の政策に反対する議員も、そうでない議員も一視同仁にすべきだと主張するものでもありません。ただ、県民の圧倒的多数をもって再選された知事として、もう少し寛仁大度であってほしいと願うものであります。知事の御感想をお聞かせ願えれば幸いです。 次に、県財政と新年度予算についてお伺いをいたします。 去る十二月議会において認定された二〇〇一年度決算を見ても、県財政の硬直化が一段と進んだことがわかります。財政の硬直度をはかる指標の一つである公債費負担比率は二六・六%で、全国の都道府県中三番目の高率でした。この比率は、二〇〇一年度だけが高率だったわけではなく、最近五年間の決算状況を見ますと、一九九七年度の二一・二%から上昇傾向が続いており、都道府県中の順位は変わっても、本県の公債費負担比率は悪化の一途をたどってきたということができます。この指標は、一般的に一五%が警戒ライン、二〇%が危険ラインと言われていますから、県財政はここ五、六年、危険水域から脱出できないでいるのです。 また、地方団体の財政構造の弾力性を測定する比率である経常収支比率は、二〇〇一年度八七・〇%で、これは全国では低いほうから十六番目でしたが、二〇〇〇年度の経常収支比率は八四・九%でしたから、これも明らかに悪化しています。 さらに、公債費の負担の程度を示す起債制限比率が、同じく二〇〇一年度、本県は一五・七%で、岡山、長野に次いで、これまた全国第三位の高率でありました。 もちろん私がここで今挙げた数字が県財政のすべてではありませんし、公債費負担比率の高さは過去の大規模投資、積極財政の結果でもあり、かつまた財政の悪化は全国的な傾向でもあることをよく承知をしています。一方、県税収入は、景気の低迷から二〇〇一年度に一千億円の大台を割り、続く二〇〇二年度は前年度比約一四%減の八百五十五億円程度にとどまる模様であります。加うるに、二〇〇三年度予算では、一般会計歳入は、県税収入が今年度当初予算比百二億円の減、地方交付税も同様に百八十二億円の減。これらの収入減を県債発行で賄うため、発行額は千四百二十四億円となり、県債依存度は一九・八%に達することになりました。 このように見てきますと、県財政をめぐる状況は、当面悪化することはあっても、好転することはないと見なければなりません。そこで問題は、二〇〇三年度県予算の編成方針との関係で、短期と中・長期との両にらみで考えて、県財政のあるべき姿をどう描くかでありましょう。県政運営の指針となるあきた21総合計画第二期実施計画の初年度を間近に控え、今、同計画の成案が得られた段階ですが、これとの関連で、県は先ごろ来年度重点施策として、経済・雇用対策、男女共同参画社会づくり、新社会資本の整備の三つを挙げ、これらの重点施策にはシーリングを設けないこととされました。また、知事は予算編成に関して、税収減などで財政運営は厳しいが、基金を取り崩してでも積極財政に取り組むと述べたと伝えられています。私は、現在の不況の原因は、将来不安に起因する需要不足と、政府の経済失政だと考えていますから、需要喚起のための積極財政には基本的に賛成です。しかしまた、やみくもに予算をつぎ込むことが積極財政なのではありません。積極財政とは、今多少の無理をしても、それが近い将来県経済を活性化し、その結果として県税収入が回復増加し、県財政を潤すものであると存じます。 そこで質問ですが、さきに挙げた三つの重点施策と、予算総額がマイナス二・七%となる中、プラス四%とした、これに関連した財政措置が、どのような道筋で県経済の活性化に効果を上げることができるのか、具体例を挙げてお示ししていただきたいと存じます。 次に、基金の取り崩しについてですが、一九九九年度末の財政調整、減債、地域振興事業の三基金合計で五百七十五億円であった残高は、二〇〇〇年度、二〇〇一年度は取り崩しを予定されながら、実際には逆に積み増しされ、二〇〇一年度末七百八十五億円となりました。このほかの二十基金合計が三百六十三億円ありますが、二〇〇二年度はこれら三基金から百九十億円の取り崩しが予定されており、さらに新年度においても、県民の元気を引き出すため、各種基金を取り崩してでも積極財政にしようとの財政方針が出され、現に二基金から百九十五億円の取り崩しが予定されています。経済的に、今は非常時であり、悪化する景気を下支えするため県が大々的に財政出動をしようとする考え方は理解できるのですが、そもそも基金にはそれぞれ使用目的があり、一般的な財政需要のため、その取り崩しまで安易に行うことには、疑問が残ります。ましてや景気動向が全く不透明な中では、なおさらであります。この点について、知事の御見解を問うものであります。 次に、県予算全体に関連することですが、県は、二〇〇三年度予算の執行によって、県の経済の見通しはどうなるとお考えでしょうか。主要な経済指標をお示ししていただきたいと存じます。 次に、財源の調達に関連して、いわゆるミニ市場公募債の発行についてお伺いいたします。これについては、岩手県の増田知事の提案により、岩手、青森、秋田三県が共同発行についての研究会を発足させ、ただいま鋭意研究中で、今年度内に報告書が出されると聞いています。これまで地方債は、シンジケート団、証券会社による縁故債や政府引き受けが中心だったものが、昨年から地域限定のミニ市場公募債の発行が認められたことは、県民や地域住民がみずからの自治体財政にさらに関心を持ち、監視を強める意味において、結構なことだと思います。 そこで質問ですが、知事は、このミニ市場公募債の発行規模を当面どの程度にするおつもりか、お聞きいたします。また、対象事業について、現段階でお考えがあれば、お聞かせください。 次に、本県の高等教育に関する諸課題について、お尋ねいたしたいと存じます。 本県の高等教育をめぐる課題は山積していますが、その一つに、人文科学系の高等教育機関の充実を挙げることに異論を挟む人はいないだろうと思います。後で論ずる国際教養大学も、大きく見れば人文科学系と見ることはできますが、ここでは、本県に法科大学院、すなわちロースクールの必要なことを説き、知事の御見解を問いたいと存じます。 日弁連の調べによりますと、我が秋田県の弁護士一人当たり人口は二万四千七百七十七人で、全国第九位の多さであります。全国平均は六千九百四十人でありますが、青森県は三万六千八百九十三人で全国第一位、岩手県は三万三千七百十九人で同三位で、北東北は弁護士過疎県であります。一方、社会経済機構の複雑化、企業活動に伴う法律的紛争の多発、グローバル化、さらには地方分権が進む中で、地方自治体内部での法律的専門知識の必要性の飛躍的拡大などから、県行政としても、高度の法律知識を持った専門家の養成に無関心ではいられないと思います。こうした動きを受けて、法科大学院-ロースクールを設立するための法律が成立し、法学部を持つ大学を中心に、二〇〇四年四月の開学に向けて、今、活発な動きが出ています。法科大学院-ロースクールにおける法曹教育のあり方については、これまでの教育のあり方の反省との関連でさまざまな課題が提起されていますが、弁護士過疎県である本県としては、県内の法曹教育機関の拡大充実が、まずは関心事であります。法科大学院-ロースクールについては、県内に二つの大きな動きがあります。一つは、秋田大学、岩手大学、弘前大学の北東北国立三大学が相協力して、法科大学院を設置したいというもの。これは、今の動きからすると、法科大学院への教員・講師派遣の約束を日弁連、具体的には岩手弁護士会から取りつけた岩手大学に設置する方向で固まりそうであります。いま一つは、こちらの方が出だしとしては早かったと思いますが、既に法学部を持っている秋田経済法科大学が、やはり二〇〇四年のロースクール設置を目指して準備を進めていることであります。秋田経済法科大学が実施したアンケートでは、市町村の九割が、法科大学院の必要性を認めているということであります。そこで、まず、県はこのような法科大学院-ロースクール設置に向けた動きを、どのように見ているのかをお尋ねいたします。 次に、上に挙げた二つの動きは、片や国立大学の動きであるし、片や私立大学の動きであるためか、これまで県の関与は希薄なように見受けられますが、これまでどのような関与を行ってきたか、また、これから法科大学院-ロースクール設置に向けた動きに、どうかかわっていくおつもりか、お聞かせください。 次に、国際教養大学について、お聞きしたいと存じます。 まず、最初に確認したいことは、文字通り紆余曲折は多々ありましたが、国際教養大学は、昨年一月、この問題に絞って開かれた臨時県議会において、これを創設することが明確に決定されたということであります。もちろん、この間題については、我が県議会の最大会派が依然として不賛成ないしは反対の立場を貫いていることに重大な関心を持たざるを得ませんが、この期に及んでは、我々議会人としては、創設することが決まった大学の内容をいかに立派にするかに腐心をすべき時だと思うのであります。ただ、こういう観点から論じても、国際教養大学には多くの問題が伏在します。以下、疑問点を質問したいと存じます。 初めは、設置形態としての独立行政法人化の問題であります。設置形態の問題は、既設の県立大学の一学部ではなく、特色ある大学をつくるため単科とすることに力点があったはずなのに、いつの間にか独立行政法人化を前提とした議論に移行した感があります。確かに、私も、当時国際系大学と言われたこの問題の賛成討論において、独立行政法人化の可能性について触れたいきさつがありますが、今の、特に創設準備委員会の議論は、大学運営上、トップのリーダーシップの強化のみをねらい、教育上の必要から出たものとは思えない点が、多々あります。そこで、質問ですが、独立行政法人化の問題は創設準備委員会主導と思えてならないのですが、県として、独立行政法人化がなされなければ、設立の目的は達せられないとお考えなのかどうか、お尋ねいたします。 次に、カリキュラム問題ですが、当初地域研究として、北東アジア課程と北米課程との二つが置かれることになっていましたが、これがグローバル・スタディズとして一本化されることになりました。グローバル・スタディズは、内容的には、中国語、中国事情も含まれることになるので問題はないとするのが、県の主張のようでありますが、日本が位置する北東アジアは、地理的名称として世界的に市民権を得ており、この名称を冠した課程をなくしたことは、それこそ新大学の特徴の一つを失わせることになるのではないでしょうか。国際教養大学が、北東アジアにある大学として名実ともに成果が上がるよう、北東アジア全般の地域研究の充実と、その名を冠した課程の復活を主張するものであります。知事の御見解をお伺いいたしたいと存じます。 次に、市町村合併と北東北三県合併、ないしは東北州構想についてお伺いいたします。 いつのころからか、カラスの鳴かない日はあっても、市町村合併の記事が新聞に載らない日はないという状況になってきました。そして、その状況は今も続いていますし、これからも続くように思います。市町村をあめとむちを持って合併へと駆り立てる合併特例法が二〇〇五年三月で期限切れになりますが、それまでに合併するには、この五月までに法定協議会を設置しなければならず、そのためには、この三月が山場ということであります。連日の関連記事を見ますと、何かバスに乗りおくれまいと、皆、浮き足立っている感を否めません。 知事は昨年、市町村合併を推進するため、全県行脚を敢行されました。その熱意は大いに称揚されねばなりませんが、知事は合併を支援すると唱えたものの、受け取る首長や市町村には強制的と映ったであろうことは、想像にかたくありません。私たちは、市町村合併はあくまで当該市町村とその住民の自主性にゆだねるべきことを主張してきましたが、昨年十二月県議会に至って、知事は、「一定の人口規模に満たない市町村の権限を強制的に縮小したり、他の自治体に編入させたりする方向は、地方分権の理念に反する。国、県の役割は市町村がどんな姿、形になるにしろ、その自立を促し、可能な限りサポートしていくことにある」と言明されました。まさに、「その言やよし」であります。率直に申し上げて、知事の考えが我々の主張に近づいたものと評価をするものであります。 今、私が紹介した知事の発言は、合併特例法の期限切れの後、人口が一定規模に満たない自治体を他の基礎的自治体に編入する、あるいはその小規模自治体を特例自治体として行政機能を窓口業務に限定するとした、いわゆる西尾私案などや、これに反発する全国町村会の動きなどが背景にあると思われますが、これからも強制合併を進めようとする政府の動きは、陰に陽に強まってくると思われます。それは、片山総務大臣が西尾氏の私案を支持していることからもわかります。 そこで、私は知事に対し、改めて、今、引用した、昨年十二月議会における答弁について、お考えに変わりはないかを確認したいと存じます。そして変わりがないならば、その答弁にあるように、国、県の役割は市町村がどんな姿、形になるにしろ、その自立を促し可能な限りサポートしていくことにあるのだから、国に対し、西尾私案的な強制合併は行うべきでないと主張すべきと思いますが、知事にそうするお考えがあるかどうかお聞きします。 さらに、市町村とその住民が、単に財政と行政コストの問題だけでなく、地域社会のありようをじっくり考え、将来ビジョンを練るにはいかにも時間が足りないと思います。これに関連して、片山総務大臣は、合併の意思決定がなされている自治体ならば、手続が期限後に残っても優遇対象とすることを検討したいと述べたと報じられていますが、私は、二〇〇五年三月に向けて市町村や住民をせき立てないためにも、合併特例法そのものの期限延長を主張すべきだと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。 さて、道州制の議論自体は新しいものではなく、一九五七年の地方制度調査会が答申した地方案を代表的な例として、これまでさまざまな場で論議が重ねられてきた歴史的経緯があります。最近の論調は、かつての行政の広域化、経済合理性を追求するものから市町村こそ地方自治の出発点、基礎という観点に立ち、全国をおおむね三百ぐらいの市ないし自治体にまとめ、その上でこれらを束ねて州とする構想もあります。しかし、いずれにしても、道州制の論議は、これまで秋田県民にとっては、多くは一般論の域を出ないものであったということができます。 これに対して、県庁内に設けられた中堅・若手職員による道州制等に関する研究会の報告や、秋田、青森、岩手三県合同で検討する北東北広域政策研究会の報告書骨子案などを拝見しますと、あたかも我が秋田県が既に道州制に移行すると決定したかのような錯覚にとらわれるのであります。寺田知事は、この北東北三県合併案、ないしは東北州構想について、記者会見においてコメントをしていますが、年頭の会見においては、「市町村合併が終了してから五年から十年のうちに道州制が視野に入ってくる。そうなると、スケールメリットが出てくると同時に、行政コストも三分の一くらいに確実に落とせる」と行政コスト論を持ち出し、道州制への移行について強い意欲をにじませました。知事が大きな構想を発表し、その実現に向けて県民をリードしていくことは、時には必要であり、望ましいことでもあります。しかし、その構想について県民がリアリティーを感じることができないものであるならば、思惑先行のそしりを免れないだけでなく、今、県民に真に必要なことが後回しにされかねない危険を伴うと思うのであります。 そこで質問いたしますが、まず基本的な問題として、なぜ北東北三県合併なのか、あるいは東北州の設立が必要なのか、そのことによって秋田県民や東北の住民にどのようなメリットがあるのか、お答えをいただきたいと存じます。 次に、地方自治法では都道府県制の廃止を想定していませんので、法改正に長時間を要することになると思いますが、三県合併、あるいは東北州構想より、全国知事会等の場における立法運動を強力に進めることのほうが先決だと思いますが、知事はこの点、いかがお考えでございましょうか。 次に、前の質問とも関連しますが、道州制論議の前に、地方分権推進法の理念を体し、行政権限と税財源の委譲を伴う、国、県、市町村の適切な役割分担について、国民的、あるいは県民的な議論を起こすことが必要でないでしょうか。この点についてもお聞きいたします。 次に、深刻化する雇用情勢と、それへの対策について、質問をいたします。 総務省発表の雇用統計によりますと、昨年十二月の完全失業率は五・五%で過去の最悪状態と並び、完全失業者は三百三十一万人でありました。このうちリストラなど会社都合で失職した人は百十四万人、世帯主失業者は百五万人で、デフレの長期化により、雇用環境はいよいよ悪化してまいりました。このような状況を反映して、県内においては有効求人倍率が全国に比べて低く、とりわけ中高年層の求人が極端に少なくなっています。県は、労働局などと協力し、さまざまな施策を展開していますが、思うような成果が上がっていないのが実情だと思います。それはデフレの深さ、長期化に起因するものと思いますが、雇用政策について、以下の質問をいたします。 まず、ワークシェアリングについてお伺いいたします。県は、二〇〇二年度に、ワークシェアリングの一環として、若年者特別採用を実施し、九十四人を採用し、その賃金原資として職員の時間外手当の削減分を充てました。来年度も同様に百人採用する予定であるとされています。この、いわば緊急避難的なワークシェアリングの実施に関連して、県庁若手職員で組織された、多様な働き方に関する研究会は、多様な働き方の実現は雇用の確保・創出につながるとして、本格的なワークシェアリング導入の必要性を提言しています。知事は、ワークシェアリング関連制度は、税制、社会保険制度の改善など国策レベルでの取り組みが不可欠であり、現行制度下での地方自治体レベルでは効果は薄いという認識のようですが、果たしてそうでしょうか。本県の労働や雇用の場における県や県職員のウエートを考えるならば、県のワークシェアリングに向けた本格的な動きは、県内の民間企業に与える影響も、決して小さくはないと思います。県は、学識経験者などで構成するワークシェアリング等研究会を組織すると聞いていますが、関係労働組合とも十分協議の上、緊急避難的なワークシェアリングから一歩進めた秋田型ワークシェアリングのビジョンを打ち出す時期と思います。その中には、サービス残業に対する強力な規制も含めるべきと考えます。知事のお考えをお聞かせください。 次に、総合雇用支援センターについて伺います。これは中高年失業者のカウンセリングと再就職支援を総合的に行う事業であり、県と労働局が連携して行う全国でも初めてのケースとして、さきの全国労働局長会議でも、本県の取り組みが報じられました。極めて時宜にかなった政策だからでありましょう。ただ、問題は、今年度、企業活性化・雇用緊急対策本部を設置して二次にわたる雇用創出プログラムを策定し、プログラムに盛り込まれた施策・事業を着実に推進してきておるにもかかわらず、雇用の改善は見られなかったことであります。いや、このプログラムなかりせば、もっと悪化したと言うべきでありましょうか。この総合雇用支援センターは、第二次雇用創出プログラムの効果的推進のための組織という位置づけでありますが、センターの設置・運用によって、雇用の拡大、あるいは失業の減少などにどの程度寄与することができるとお考えか、数字的なものがおありでしたら、お示しをいただきたいと存じます。 次に、障害者雇用についてですが、県内において障害者雇用促進法に定める障害者雇用の責務を負う民間企業五百四十三社のうち、一・八%の雇用率を満たしているのは約半数で、しかも前年実績を下回っています。県として、当面、この雇用率の達成企業をふやすため、どのような施策をとるのかを明らかにしていただきたいと思います。 次に、大王製紙との訴訟の見通しについて、質問をいたします。 秋田県経済が総じて低迷を続ける中、幸いにして秋田港の外貿コンテナは好調です。これから秋田港のさらなる整備、高速道路の県内延伸と相まって、好調が持続するよう期待をしているところです。私は、秋田港とその周辺の工業団地は、本県産業高度化の戦略拠点だと考えていますが、それにつけても、大王製紙進出予定地の利用方法を決めることが急がれます。大王製紙の進出断念が決まって以来、国の経済特区の動きなどとも絡んで、この用地の利用方法について、さまざまなアイデアやプランが策定されつつあります。しかしながら、この用地問題が決着を見なければ、それらは当面絵にかいたもちにすぎません。昨年春に始まった県と大王製紙との訴訟は、先月末で六回目の口頭弁論を数えましたが、大王製紙の主張には少し変化の兆しを見て取れなくもありませんが、依然としてかたくななものがあります。そこで質問ですが、県はこの訴訟の見通しについてどのようにお考えか、お尋ねいたします。 最後の質問になりますが、秋田中央道路の建設と竿燈会場についてお伺いいたします。 秋田中央道路の建設については、当初計画の工事費がほぼ倍増するなど大きな問題を抱えながらも、道路の必要性について大方の県民に理解され、暫定二車線で工事が開始され、二〇〇七年国体を目途に順調な推移を見ていることは、喜ばしいことと存じます。 さて、この秋田中央道路がその地下を通る山王大通りは、一九九五年から竿燈大通りと改称され、文字どおり秋田の竿燈のメッカとなりましたが、秋田中央道路の工事が進み、山王十字路付近のランプ位置や規模が明らかになるにつれ、秋田の竿燈を支えてきた秋田市竿燈会の皆さんは、大きな不安にとらわれました。それというのも、竿燈会場となる竿燈大通り約八百三十メートルのうち、百二十五メートルはランプ区間として使用されるため、また、百四十五メートルはランプに出入りするために中央分離帯を撤去する関係から、その約三分の一は、従来のようには、竿燈の演技、あるいは観客のための桟敷として使用できなくなり、祭りの規模を縮小せざるを得なくなるおそれがあるからです。 このことを懸念して、秋田市竿燈会ではさまざまなレベルの会議を開き、意見の集約に努めた結果、ランプの位置については認めることとし、見直しは求めないということになったことはいいとしても、二〇〇四年、二〇〇五年の竿燈まつりの規模がどうなるのか、ランプ開口部をどう利用するのか、交通規制はどうなるのかなどなど、不透明な点が少なくありません。 そこで質問ですが、秋田市竿燈まつり実行委員会の事務局は同市の商業観光課にあり、かつ同会の会長は秋田市長でありますが、秋田市からの申し入れや、県市間の協議のやりとりについてつまびらかにしていただきたいと存じます。 次に、ランプ設置や中央分離帯撤去によっても竿燈まつりの規模を縮小することが望ましくないとするならば、県は善後策としてどのようなことを考えているのか、お聞かせください。 次に、秋田中央道路の交通規制は公安委員会の権限であり、実施については公安委員会当局が判断するであろうことを前提とした上で、県の観光政策上、公安委員会に対し、交通規制を実施するよう要望するお考えはないかどうかをお尋ねいたします。 最後に、この問題に関して、秋田市竿燈まつり実行委員会と覚書を交わすお考えはないかをお聞きしたいと存じます。 以上をもちまして、私の質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手) ○副議長(長谷部誠君) 県当局の答弁を求めます。     [知事(寺田典城君)登壇] ◎知事(寺田典城君) 加成議員の御質問にお答えいたします。 最初に、私の政治姿勢についてでありますが、グローバル化の進展や環境重視など、社会経済情勢が大きく変化する中で、現在の我が国には、これまでの発展を支えてきたシステムを抜本的に改革していくことが求められております。このような時代の大転換期にあって、新しい秋田づくりの歩みを確かなものにするためには、率先してその道筋を明らかにしていくことがぜひとも必要であるとの強い思いから、みずからの政治理念と政策を県民の皆様に広く訴え、よりオープンな形での政策論議を深めていくことが、私の基本姿勢であります。こうした政策推進上の観点から、政治家である私の政策に賛同する人とともに手を携えて課題解決に向かうことも選択肢の一つであると考えております。県政の推進に当たっては、今後とも、公平公正を常に念頭に置いてまいりたいと思います。 二点目の県財政と新年度予算についてでありますが、初めに、重点施策の推進による県経済の活性化については、平成十五年度重点施策推進方針では、まず緊急の課題として、県民生活の安定に資する経済・雇用対策に取り組むこととしております。また、中・長期的な視点から、暮らし優先の社会を目指すことが経済活動を活発化させるとの認識のもと、秋田の新たな可能性を生み出す男女共同参画社会づくりを推進するとともに、元気な秋田づくりの礎となる新社会資本の整備を先行的に進めることとしております。これらに掲げられた分野のうち、例えば、高速道路の整備やIT関連事業は、直接多くの産業の生産やサービスを誘発することが期待できます。また、新産業の創出や製造業、農林業の活性化は、同時に小売業やサービス業など他業種にも活気を与え、街全体のにぎわいづくりにも波及すると思います。さらに、観光やグリーン・ツーリズムの推進などによる交流人口の増加は、農畜産物の地産地消の促進や、伝統工芸産業の振興にもつながります。このように、重点施策の推進により、さまざまな形で波及効果が期待され、県経済の活性化につながるものと考えております。 次に、基金の取り崩しについてでありますが、平成十五年度の当初予算は、県税収入や地方交付税の減少などにより、昨年度に引き続き大幅な財源不足が見込まれる中での編成となりました。しかしながら、少子・高齢化対策や経済・雇用対策など本県が直面するさまざまな行政課題に対する具体的な対応が求められていることから、予算編成の段階から、いわゆる財政三基金のほか、各種基金の有効活用を図りながら、元気の出る積極的な予算にしたいと考えておりました。このため、明年度は県債の償還や県立総合武道館等の建設プロジェクトに充てる財源として、減債基金及び地域振興事業基金から、合わせて百九十五億円を取り崩すこととしております。こうした厳しい財政状況にはありますが、引き続き最小コストで最大の効果が発揮されるよう留意するとともに、新規、継続を問わず、施策・事業を厳選し、見直しするほか、財政三基金を初めとする各種基金についても、設置目的に沿った有効活用を図り、計画的かつ機動的な財政運営に努めてまいりたいと考えております。 次に、新年度予算による経済見通しについてでありますが、県予算の執行による県経済への影響については、県経済に占めるウエートの大きい個人消費や企業の設備投資など民間の動向を初め、県外との移出入など、予測が難しいこと、そして、現在のような変化の激しい時代にあっては、過去のトレンドからの予測は通用しなくなっていることなどから、県経済の指標の変化を具体的に示すことは困難であります。今回の予算執行による施策・事業の効果については、政策等の評価を通じて検証し、新たな施策展開に役立ててまいりたいと考えております。 次に、ミニ市場公募債についてでありますが、北東北三県で、これまでも北東北広域政策研究会を通じてさまざまな連携事業に取り組んでまいりましたが、昨年十月、新たにミニ市場公募債の共同発行に向けて、地方債共同発行研究部会を設置し、鋭意検討を進めております。研究部会においては、どのような事業が対象として適切か、発行規模はどのくらいとなるのかのほか、発行コストはどれくらいが妥当か、クリアすべき課題は何かなどについて検討を行い、今年度末までには報告書を取りまとめることとしております。ミニ市場公募債の発行は、県民が公募債の購入を通じて、地域の発展により関心を持つきっかけともなりますので、引き続き共同発行に向けて検討を行ってまいりたいと思います。 三点目の高等教育に関する諸問題についてでありますが、初めに、法科大学院の設置については、法科大学院構想については、司法制度改革審議会の意見を踏まえ、平成十四年八月、中央教育審議会から「法科大学院の設置基準等について」の答申がなされました。伝統的に我が国の大学院は、学術研究の推進と、それを通じた研究者の養成が主な役割でありましたが、法科大学院は、高度で専門的な職業能力を有する人材の養成を目的とした実践的な教育機関であり、高等教育の新たな可能性を切り開くものと受けとめております。 こうした中、北東北にあって唯一法学部を設置している秋田経済法科大学が、建学の理念である実学重視を推し進め、一層の地域貢献を図るために、平成十四年六月にいち早く法科大学院構想を掲げ、その実現に取り組まれていることは、全国に比べ法曹人口の少ない本県にとって、意義深いことと考えております。また、北東北の国立大学の連携策の中で、岩手大学に法科大学院を設置するという動きがあり、県としても、関心を持っているところであります。一方、本県において、法科大学院の学生確保を考えた場合、県内のみならず、他県からも学生を集めることが必要になるとともに、社会人学生の確保については、県境を越えて、経済界や自治体の協力が不可欠なものと考えます。また、少人数教育を基本としているため、学生の経済的な負担が高額になるなど、その運営には多くの課題があることも事実であります。県としては、これまで、このような点を含め、秋田経済法科大学から相談を受けており、適宜、意見交換を行ってまいりました。今後は、この構想が具体化する過程で、県がどのような役割を果たせるのか、また、どのような協力体制をつくっていけるのかなどについて、大学と情報交換を行いながら検討してまいりたいと考えております。 次に、国際教養大学についてでありますが、まず、独立行政法人化については、この大学を構想するに当たっては、何よりも二十一世紀に生き残っていけるユニークな大学であることを主眼に置き、米国式教育システムや教員の任期制など、他の大学にない特色を盛り込んだものであります。また、その設置形態については、これらの特色を最大限に発揮するため、機動的かつ柔軟な運営ができる単科大学が適切かつ現実的であると判断いたしました。その後、民間の経営手法を取り入れた効率性の発揮や、学長のリーダーシップによる自主性、自律性の向上などを大きな柱とする独立行政法人制度の姿が具体化してまいりました。これは、本大学の運営の基本方向と合致し、単科大学としての機能をより高めることから、独立行政法人化を目指すこととしたものであります。こうした県の方針を受け、創設準備委員会においても、独立行政法人化することについて意見集約をいただいておりますので、今後、開学時から独立行政法人としてスタートができるよう、その具体化に努めてまいりたいと考えております。 また、カリキュラムについては、当初の構想では、本県の地理的な優位性から、環日本海諸国との交流を促進するため、中国、韓国及び極東ロシアを研究対象とする北東アジア課程を設定いたしました。その後、創設準備委員会の意見を踏まえ、北東アジア課程と北米課程がグローバル・スタディズ課程に一本化しております。その議論の過程においては、まず、北東アジア課程の中で、中国、韓国及び極東ロシアを対象とした場合、それぞれの国、地域を対象としたカリキュラムが必要であり、結果として、多数の教員を要することから、コストのかかり増しになるとの指摘がありました。このため、当面は、二十一世紀の世界の動向を左右する中国を中心にコース設定し、その実績を積み重ねながら、将来、北東アジア地域全般に対象を拡大していくことが望ましいと判断されたものであります。また、北東アジア地域の経済活動が、現在及び将来にわたって米国との交流が不可欠な要素となってきていることから、北米課程と北東アジア課程をグローバル・スタディズ課程に一本化し、その上で、改めて北米と中国を対象としたコースを設定したことは、東西交流を進める観点から意義あることと考えております。 なお、この大学にとってはもちろんのこと、本県にとっても、北東アジア地域との交流が重要な課題でありますので、この大学の提携先である吉林大学の北東アジア研究院と協議し、北東アジア地域全般を対象とする共同研究や教員の交換などを行うための連携を図っていくこととしております。いずれにしましても、この大学が目標に掲げる、国際社会で活躍できる実践力を備えた人材の育成については、環日本海諸国との交流への対応が一つの大きな柱となることに変わりはなく、そのような方向で、この大学を着実に充実させてまいりたいと考えております。 四点目の市町村合併と東北州構想についてでありますが、初めに、市町村合併の進め方については、これからの時代は、基礎的な自治体である市町村がしっかりと自立していくことが求められています。市町村合併は、それを実現する上で有効な手段であり、その取り組みに対して今後とも積極的に支援してまいります。しかしながら、単に一定の人口規模に満たないことのみを理由として、市町村の権限を縮小させたり、強制的に合併させたりするようなことは決してあってはならないという考えは、いささかも変わっておりません。 この間題については、いわゆる西尾私案が公表され、現在、地方制度調査会等で議論されておりますので、その動向を注視していくとともに、機会をとらえて、県としての考えを率直に申し述べたいと思います。現在、市町村においては、合併について、住民とともに真剣な議論が繰り広げられておりますが、合併特例法の延長はないものと承知しておりますので、十七年三月末の期限を見据え、合併に向けた取り組みを一層進めていくことが先決であると考えております。 次に、道州制についてでありますが、地方分権一括法の施行により、地方公共団体は自己決定、自己責任の原則に基づく行政運営を目指すことになり、市町村においては、行財政基盤の充実強化を図る必要から、合併の取り組みが懸命に行われています。こうした地方分権の本旨である自立を目指す動きが必要なことは、都道府県においても例外ではなく、道州制を含めた将来の広域自治体制度の具体的なあり方について、議会はもちろんのこと、県民の皆様と議論を重ねていくことが不可欠であります。全国知事会等の場においても、地方分権の実現のため、先送りされている地方税財源の充実確保を国に強く要望するほか、こうした都道府県の再編についても、積極的に取り上げていくことが必要であります。 しかしながら、道州制等について全国的な合意形度が得られていない現段階においては、北東北知事サミットを開催し、全国に先駆けて県境を越える広域連携の実績を積み重ねてきた三県が、予備行動として合併や道州制の構想を描き、国に制度改正を提言していくことも必要と考えております。このように県を再編し、より大くくりの自治体とすることは、行政コストを大幅に削減できる一方、真に必要なものへの重点投資による財政運営の効率性の向上や、対岸貿易、国際観光の振興など、産業振興面でのメリットも大きいものと考えております。 いずれにいたしましても、都道府県の合併や廃止は、生活の面でも、また、心情的にも、県民の皆様に大きな影響を及ぼすものであり、合意形成を図りながら進めることが何よりも大切でありますので、今後取りまとめられる北東北三県の研究成果等をもとに、広く議論してまいりたいと思っております。 五点目の雇用対策についてでありますが、初めに、秋田型ワークシェアリングについては、雇用対策などの有力な手法であるワークシェアリングについては、早期に導入の促進を図るべきものと考えており、平成十五年度に設置するワークシェアリング等研究会の成果を踏まえながら、幅広く検討していくこととしております。その目指すところは、大幅な労働時間の短縮などにより、ゆとりある就業環境の整備を図るとともに、正規・非正規雇用の賃金格差を是正し、雇用形態にかかわらずさまざまな働き方が無理なく選択できるようにすることであります。こうした取り組みは、多くの雇用をつくり出すとともに、女性や高齢者の能力を生かせるなど、成熟社会を迎えている我が国に、今、必要なシステムであると考えており、研究会の成果を踏まえながら、国や企業などに対し提言してまいりたいと考えております。 一方、現行制度のもとでの民間事業所における導入促進については、その効果に一定の限界があるものの、当面の雇用の維持・確保を図る観点から、県が取り組むべき課題や手法について、できるだけ速やかに整理してまいりたいと考えております。 また、長引く不況の中で増加が懸念されているサービス残業については、現在、労働基準監督署等において、その指導を強化しており、県としても、引き続きこれら関係機関と連携しながら、労働基準法の遵守等について指導の徹底を図ってまいります。このサービス残業については、ワークシェアリングを推進する観点からも、検討課題であると考えております。 なお、県の組織における取り組みについては、今後、職員の就業意識の変化やライフスタイルの多様化に応じたさまざまな働き方の実現に向けて、採用方式や雇用形態などについての検討を深め、あわせて地方公務員制度の改善や弾力的な運用などについても、国に対し働きかけてまいりたいと考えております。 次に、総合雇用支援センターについてでありますが、厳しい雇用環境のもと、失業者の増大、失業期間の長期化による深刻な生活不安などの実態が顕在化しており、これらの問題に対応するためのきめ細かな相談と、ハローワークの職業紹介機能を活用した再就職支援を行うために、国と県が共同で設置する総合雇用支援センターを、本年四月の開設に向けて、その準備を進めております。本センターでは、再就職を初め、生活不安やメンタルヘルスなど、失業中におけるさまざまな問題について幅広く相談に応じることとしており、当面、月二百四十人を目標に、十分な時間をかけた対面相談を実施するほか、フリーダイヤル、電子メールによる相談や、心理カウンセラー等の専門家を招いた特別相談を実施してまいります。 また、就職活動の技術向上を図るための再就職支援セミナーの開催を初め、労働局との連携によるリアルタイムでの求人情報の提供や、ハローワークスタッフによる職業相談、職業紹介の実施などにより、一人でも多くの失業者が再就職できるように支援してまいります。 次に、障害者雇用についてでありますが、長引く景気の低迷から、本県の平成十四年の民間事業所における障害者雇用率は、一・五一%と全国平均を上回っているものの、前年より〇・〇三ポイント減少し、障害者の雇用情勢は大変厳しいものと考えております。こうした状況の中、国では、ハローワークに障害者向けの雇用支援窓口を新たに設置するとともに、今年度からジョブコーチによる職場定着支援事業を実施しているほか、平成二十年までの障害者雇用者数の目標を設定し、雇用率未達成企業に対する指導強化の方針を打ち出しております。県では、秋田労働局等と連携し、職業準備訓練や職場適応訓練を実施するとともに、県単独の障害者雇用開発報奨金を支給するなど、積極的に障害者の雇用促進に努めているところであり、さらに、障害者の就業及び生活上の支援を一体的に実施する、地域の中心的な機関として障害者就業・生活支援センターの早期開設を図るなど、法定雇用率一・八%達成に向けて、なお一層努力してまいります。 六点目の大王製紙との訴訟の見通しについてでありますが、県としては、昨年三月十四日に大王製紙に対して工業用地と工業用水にかかわる約八十億円の違約金の支払いを求めて反訴を提起したところですが、以来、去る一月二十八日までに六回の口頭弁論を経て、双方の準備書面の陳述や、書証の提出などが行われております。訴訟の争点は、秋田進出断念に伴い、基本協定書附属覚書に規定する違約金の支払い義務が発生するか否かに尽きるものと受けとめており、県としては、進出断念は大王製紙の経営判断であり、双方が合意し、締結した附属覚書に定められた条項に基づき支払いを請求している旨、主張してきたところであります。これに対し大王製紙側は、住民訴訟に起因して進出断念に至ったもので違約金支払い義務はないとする三者協議以来の主張を崩しておらず、双方の主張には依然として大きな隔たりがあります。今後の訴訟の展開につきましては、次回以降、証人尋問などの立証段階に移行する予定となっておりますが、県としては、違約金の支払い請求は、司法の場においても十分な妥当性、合理性を有するものと考えており、引き続き裁判において、こうした点を強く訴えてまいります。 七点目の秋田中央道路の建設と竿燈まつりの会場問題についてでありますが、竿燈まつりを今後とも竿燈大通りで開催できるよう、秋田市が主宰する秋田市竿燈まつり実行委員会の中に、県や竿燈会、警察署など関係機関から成る会場検討ワーキンググループが設置されており、現在、桟敷席の確保や交通規制などの各種課題について検討を重ねております。完成後におきましては、できるだけ現状に近い形で開催できるよう取り組んでいるところであり、秋田市竿燈まつり実行委員会との早期の合意形成に努めてまいります。 なお、工事期間中におきましては、工事を一時中断し、従来どおり竿燈まつりを開催することとしております。 以上でございます。 ○副議長(長谷部誠君) 一番加成君の質問は終わりました。 暫時休憩いたします。 △午後二時三十分休憩 --------------------------------------- △午後二時四十五分再開      出席議員    四十三名     一番  加成義臣      二番  菅原龍典     三番  川口 一      四番  穂積 志     五番  安藤 豊      六番  伊藤昭二     七番  工藤任国      八番  栗林次美     九番  大関 衛      十番  津谷永光    十一番  宮腰 誠     十二番  平沢健治    十三番  木村友勝     十四番  土谷勝悦    十五番  樽川 隆     十七番  小田美恵子    十八番  武田英文     十九番  金谷信栄    二十番  鶴田有司    二十一番  石田 寛   二十二番  小田嶋伝一   二十三番  加藤義康   二十四番  菅原 昇    二十五番  小番宜一   二十六番  冨樫博之    二十七番  原 盛一   二十八番  大野忠右エ門  二十九番  佐藤健一郎    三十番  中泉松之助   三十三番  工藤嘉左衛門   三十四番  野原多津美   三十五番  伊藤万治郎   三十七番  鈴木洋一    三十八番  大里祐一   三十九番  安杖正義     四十番  北林康司   四十二番  佐藤次男    四十三番  北林照助   四十四番  長谷部 誠   四十五番  藤原俊久   四十六番  辻 久男    四十七番  高久正吉   四十八番  柴田康二郎---------------------------------------     地方自治法第百二十一条による出席者          休憩前に同じ--------------------------------------- ○議長(津谷永光君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 日程第二、一般質問を継続いたします。七番工藤任国君の一般質問を許可することにして御異議ありませんか。     [「異議なし」と呼ぶ者あり] ○議長(津谷永光君) 御異議ないものと認めます。七番工藤君の発言を許します。     [七番(工藤任国君)登壇](拍手) ◆七番(工藤任国君) 公明党会派工藤任国でございます。今定例会最後の一般質問となりますが、私にとっては名実ともに最後の質問となります。この機会を与えていただきましたことに、諸先輩、同僚議員の皆さんに感謝申し上げる次第であります。また、知事を初め執行部の皆さんにもこの機会に多くの御尽力、あるいはまた御協力をいただきましたことに深く御礼申し上げる次第であります。ありがとうございました。 初めに、天皇陛下の御快癒、御退院を心よりお祝い申し上げたいと思います。 一方、今回のスペースシャトル「コロンビア」の事故については、本当に胸が痛みます。七人の宇宙飛行士、御遺族の皆様に心から哀悼の意を表します。 さて、二十一世紀に入って二年目のことしは、国内にあっては深刻な不況、国際社会ではイラク危機、北朝鮮問題を抱え、内憂外患の年明けであります。こうして考えてみますと、現在は今まで以上にグローバリゼーション、いわゆる地球化現象が時代の必然的潮流になっているという事実であります。しかし、グローバリゼーションは世界的な市場経済の拡大にもつながるものでありますが、流れに乗れなければ強者と弱者の拡大が進む面もあります。それだけに国境を越えた人道の危機を克服する共存と対話の世紀にしていかなければならないと思うのであります。 一方、日本における社会経済状況については、知事は、明快にその考えを述べているところであり、同感いたします。私は、さらに申し上げれば、近年の市場主義経済は効率、合理化、利益を重視し過ぎることにより、社会の公正や人間の幸福、環境の保護といった大切な視点をおざなりにしてきたということを総括し、人間社会の質の高い社会、循環型社会経済への大転換の方向へ持っていくことも大事だと思うのであります。ある識者の言葉を引用すれば、「日本は物質面で豊かになるという「古い競争」には勝った。これからは人間の幸福といった面から生活の質を高めていく「新しい競争」を他国に先んじて始めようではないか」とありました。 それでは質問に入らせていただきます。 知事には三日間の御答弁をいただいて、多少疲れていることと思いますが、どうぞ最後までよろしくお願いしたいと思います。 初めは行政改革についてであります。 知事は、先入観にとらわれた物の考え方と決別し、リスクを恐れず、新しい分野に積極果敢にトライしていくことが肝要であると述べられ、地域社会を維持していくことができる仕組みをつくっていくことが極めて重要であり、地域の総力を挙げて取り組んでいく必要があるとして、行政コストの縮減をより効果的に展開するとしております。 既に、きのうの午後の質問の安藤さんには、予算の積み上げ方式を新たな展開にするという方向、そしてまた、きょうの新聞にあわせて、県の組織フラット化の話が載っておりました。そしてまた、一昨日は工藤先輩の県職員三千五百人の体制という話もあったわけでございますが、多少重複する点もあろうかと思いますが、あわせて質問させていただきたいと思います。 そこで、一点目は、経常経費の一層の削減であります。特に人件費の削減は、定員適正化計画にのっとっている範疇なのか、それとも一層踏み込んだ職員の減員を考えているものなのかについてお考えをお知らせください。 二点目は、県民サービスの低下についてであります。知事もこうした行政コストの縮減が直ちにサービス低下につながらないよう配慮しなければならないと言われております。しかし、むだを排する財務体質は大事ではありますが、コスト縮減を共助や協働によりカバーする社会環境づくりへのコンセンサスが必要と思われます。いわゆる県行政や公的部門にすべてをゆだね、頼るという県民側の意識を変えていかなければならないという総合的な視点が大事だと思います。 そこで、そうした県民パートナーシップ的な協力が必要な施策・事業について情報公開により広く理解してもらうということも側面から大事と思いますが、いかがかお尋ねいたします。 三点目は、先日、知事給与等懇談会の識者の皆さんから参考意見が述べられておりましたが、率直に言って知事はどのような考えでおられるか、お聞かせください。あわせて、県が多くの出資をしている法人の役員については、業務の成績に連動して報酬が支給される成果主義を取り入れて、業績の貢献度に応じた、めり張りのついた報酬制度とすべきものと考えますが、知事のお考えをお聞かせください。 大きな項目の二番目の質問は、秋田県の活性化の方策についてであります。 知事は地方の自立、地方分権が具体化していくことであるとし、住民みずからの意思と責任でさまざまな知恵の結集が必要であると言われ、そのためにも市町村合併で自治能力の強化が重要であるとされております。一方では、県行政としての現況打開のために効果的な政策、将来に対するビジョンを示すなど、県民への提供は急務であります。その意味で、平成十七年までの第二期実施計画は当面の課題を盛り込んだものとして評価いたします。 そこで一点目は、県内経済の再生についてであります。県では新たにマーケティング戦略本部を設置し、製造業、農業を中心として振興を図ろうとの意向であります。即戦力になるように頑張ってほしいと思います。しかし、考えてみますと、この二つの分野に特化したものだけが商品や産物とは言えません。戦略本部はある意味では、県産品全体についてもそのマーケティングに適した商品開発を目指さなければならないという面もあると思うのであります。例えば、過日、水産漁業関係者と懇談したとき、「県の魚とされたハタハタは一時に集中して漁獲されるため、その流通と加工面が非常に限定されており、何かもったいないように思う」と嘆いておりました。こうしたハタハタの通年販売ができる加工食品などの開発が考えられます。また、木材関連加工品など総合的な面での再生プログラムの作業が欲しいと思うものであります。こうした県産品の総点検をして、再生、再開発への取り組みをぜひ考えてみてはどうかと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。 二点目は、秋田県の持続的な変化をもたらしている潜在傾向をチャンスととらえ、開発することと思います。そのキーワードは健康、環境、安心、ゆとりであり、生活の質を向上させていく分野が秘められているという観点であります。さらに、具体的に言えば、三大生活習慣病による死亡原因が高いという事実がありながら、一方では日本屈指の高齢化社会、また、海浜、山林などの自然環境の豊かさ、玉川温泉などに見られる保養地の豊富さ、自然災害などが比較的少ない郷土がくれる安心な居住地、人口密度も少なく自由でゆとり空間の広い県土などが評価されましょう。とかく行政負担、コスト面ばかりの視点ではマイナーな感じを受けますが、こうした十分な潜在的価値を秘めている新しい分野の育成、産業、事業を目指し起業を促進させることを早く求めたいものです。ほかからの進出を許してしまえば、またまた消費県として県産業の活性化が出おくれてしまいます。そこで、こうした県の潜在的な力を、創造的に産業構造に転化する、集中的な育成・研究を、産学官による開発プロジェクトを推進してはどうかと思いますが、いかがでありましょうか。 三点目は、新規開業の活性化のために、創業予定者の研修会実施についてであります。特に事業構想のアドバイス、軌道化のための諸施策の活用など、初めての方にはわからないことが多くあります。とりわけ、これからの創業、起業の広がりは、女性、シニアの皆さんにもチャンスを広げることにより、今までにない発想の起業化にもつながるのではないでしょうか。いわゆる創業に対する立ち上げから、金融、マーケティングにわたるアドバイザー、そしてまた、特に金融や知的財産の確保などの支援は大切なことであります。そこで、商工会、会議所での今までの対応と課題点は何か、また、シニアクラス創業促進は今後求められていくものと考えますが、そうした方策の展開についてはどのようになっているか、お聞かせください。 三番目の項目でありますが、観光振興についてであります。 一点目は、郷土の特色ある恵みへの展開であります。それは秋田県観光の振興であり、日本はもとより、世界にも誇れる観光資源の再発見と自信に基づく発信と言えましょう。いまだ日本国内で行ったことがない、来たことがないワーストテンに入っている秋田県こそ、宣伝が下手で、少ないアピール、恵まれていることになれている自覚の低さ、他県の宣伝のよさでほかがよく見えてくる等々、考えてみればまだまだ秋田県の観光資源の豊かさに気づいていないのではないでしょうか。東北六県における観光客入り込み客数は、全体で二億五千四百九十六万人あります。そのうち、我が県は四千四百四十万人と言われております。実に、県人口の三十七倍にも当たり、その消費額は一人百円としても四十四億円にもなり、千円とするならば四百四十億円にもなる勘定です。無視できない額です。また、雇用創出に及んでも人口の三分の一に当たる人たちが、何らかの観光関連産業に関係していると言われております。したがって、県外、世界のすべての人々が観光客であり、資源なのであります。現在の倍の入り込みを図ることは、一大産業の構築に匹敵する大きな発展であります。県の観光行政も支援策も事業開発も、それこそリスクを恐れず、県の再生のビック事業として推進すべきだと思いますが、お考えをお聞かせください。 二点目は、県歌にも歌われているように「秀麗無比なる鳥海山、山水皆これ詩の国秋田」とあるとおり、まさに山紫水明の自然に恵まれたふるさとであります。田沢湖、十和田湖などの観光地や県内各地でのグリーン・ツーリズムなど、自然と共生した味わいの提供をさせていただいているわけでありますが、私はさらに、山林、田園、海浜とリンクした、いわゆるグリーン・ブルー・ツーリズムといった、一体感のあるエリアの構築を図ったらどうかと思うのであります。例えば、鳥海山から象潟、金浦、仁賀保のエリア・ゾーン、男鹿の真山、寒風山から北浦、戸賀、門前一帯のゾーン、白神山地から八森町にわたるゾーンなど、いま一つエリアの確立でグリーン・ブルー・ツーリズムの観光及び保養、健康増進エリアとしての誘客化を進めることを提案いたしたいと思いますが、いかがでありましょうか。 三点目は、健康長寿社会に向けた温泉資源の活用であります。県内の温泉数は百十五カ所、全国で六位、中でも八幡平の懐、玉川温泉はpH一・二の強酸性の秘湯と言われ、源泉から噴出量は毎分九千リットルで日本一、県内外から訪れる湯治客は三十万人以上と言われ、遊興的なものよりも、まじめに健康回復を求めてくる人たちであふれているのであります。昨今の温泉地も従来の遊び場より、保養から健康増進として求めてくる人が多くなってきております。少人数、家族的な温泉利用の傾向にあると言われております。 そこで、貴重な玉川温泉の人気の高さを学ぶことが、これからの温泉地活性化のポイントではないかと思うのであります。現在、各自治体で一カ所ある町の温泉と相まって、旧来の温泉地にあっても、もっとしっかりとした健康増進施設の設立があってもいいのではないかと思うのであります。昨年三月に、日本公衆衛生協会がまとめた温泉利用型健康施設のあり方検討会で、健康増進施設の認定基準の大幅な緩和や検証に取り組む、また、健康増進法の中にも、厚生労働大臣が定める基本方針に、温泉利用型健康増進施設をしっかりと位置づけるとしております。ともかく各地の温泉地においても、ひところのマス・ツーリズムが流行した団体観光、社用族で遊興した客の激減により温泉経営上にも深刻な状況にあるということは言うまでもありません。しかし、新たな健康増進で温泉療法などによる温泉振興策を、県としても支援策が必要な時を迎えているのではないでしょうか。新たな温泉地のビジネスチャンスとして、前向きにお願いしたいものとと思います。 次に、第四番目の項として健康社会の構築についてであります。 我が国の平均寿命は世界でも最高水準にあると言われております。とりわけ秋田県は急速な高齢化が進む中、生活習慣病の増加により、それに伴う要介護状態の人も多く、地域社会における課題となっております。言われているように早期疾病の発見、治療、または病気予防も重要な対策であります。すべての人が健やかで心豊かに生活できるために、社会全体で心身ともに健康づくりの支援が大事ということであります。 そこで一点目は、現在の高齢化社会にあって、心の健康づくりや生きがい探しへの取り組みが十分であるかであります。なぜならば、自殺者が日本一多いことなどを考えれば、どうしても個人個人の、生きがいの持ち方について問題があるのではないかと考えてしまいます。仕事から開放され、自由な時間、何でもできるシニアの人たちは、本当に人生の総仕上げにふさわしい生きがいを見つけておられるのか、易しいようで難しいことのように思われてなりません。それだけに生きがい探しに積極的に参加できる環境が必要と思います。とりわけ、コミュニティーカレッジの創設、活用等を通しての生涯学習の機会が充実する、地域コミュニュケーションづくりが求められております。いわゆる閉じこもり防止のためにも、高齢者同士で共助し合う社会参加方式が必要と思います。趣味もスポーツも限度がありますが、生涯学習的な学びの場には限度はありません。デイ学習サービスシステムなどがあれば、別の意味で人生で最も充実した幸多き高齢者、いわば幸せの「幸齢者」として、満足な人生の心の準備ができるのではないでしょうか。生涯学習の機会拡充のための支援策をお願いするものであります。 二点目は、女性の健康についてであります。先月、一週間ぐらいの日程で、県内で、女性専門外来の開設を求める署名運動を行った女性団体があります。十万人以上の署名を集めました。潜在的に女性の皆さんはそれを希求していることを物語っているものと思います。生涯を通じた女性の健康は、時には出産や子育てなど多岐多様にわたるものであります。中でも女性特有の身体的症状や精神的不安などを総合的に診療できる、女性専門外来が求められております。既に実施されている病院では、予約が数カ月待ちというほどのニーズの高さであり、女性のライフスタイルに応じた健康チェックを受けることができる医療施設を中核病院等に設置することについて、県としても、推奨していただきたいというふうに思います。 三点目は、小児の救急医療についてであります。過日の新聞にも、「病人をたらい回し もうやめて」という新聞がありました。そして、三日後にその子供さんが亡くなった記事が載っておりました。少子化の進む秋田県にあって子供は大事な将来の人材であります。小児期の救急医療体制は小児科医の不足や小児科病棟の減少に伴っており、依然としてその充実が求められております。そこで三つの角度からお尋ねいたします。 一つは、救急の初動で接する救急救命士と小児科カリキュラムの業務充実はどのように考えておられるのか、お聞かせください。 二つとして、市町村において、住民も参加した医療、消防、教育などの各機関が連携した小児医療協議会などで、予防、応急、救急などの話し合いは行っているのかどうかお聞きいたします。 三つ目は、平成十六年度から義務化される臨床研修制度における小児科診療の研修は行われるのかどうかお聞きいたします。 次に、四点目は医療事故に関してであります。昨今、病院等におけるさまざまな事件や事故が報告されております。まさに医療における安全と質の確保は必須であります。特に医師の不適切な医療行為や病院における組織ぐるみの不正、隠ぺい問題など、社会問題化している医療事故を未然に防止するために、現在病院等でリスクマネージメントのシステムを持たれているところはどれくらいあるのか、また、患者や家族からの苦情や相談についての対応はどのようなところで公平に聞いて処理してくれるのか、お聞かせ願います。 次に、第五番目にNPO法人についてであります。 先ほど鶴田さんからもお話があったわけでございますが、若干重複する点があると思いますけれども、よろしくお願いします。今、精力的に行われている市町村合併などで見られる住民の不安は、行政サービスの低下にならないかという点があります。また、知事の標榜する県民とのパートナーシッププランにも見られるように、県民の共助性の意識改革が求められています。一方、社会の変化に伴い、住民ニーズが多様化し増大しているのも事実であります。そうした中で経済のグローバル化の進展、情報通信技術の革命的な進歩、急速な少子・高齢化の進行等により時代が大きく変化する中で、社会の既存の制度や仕組みが根本的な変革を迫られているのが現状ではないでしょうか。こうした社会の新たな課題に対して、心ある多くの県民は、福祉や環境を初めさまざまな分野でNPOを設立し、自主的、自発的な活動を展開しており、県民と行政との新しい関係が生まれ、NPOの存在意義が高まりつつあります。また、こうした流れを社会に対して責任ある体制で継続することにより、社会的な使命を達成することができると思います。 また、いわゆるボランティアが個人のスタンスをあらわす言葉であるならば、NPOは組織のスタンスを示すものであります。しかし、行政や企業とは異なった社会的使命の達成とサービスの提供でさまざまな社会的課題の手助けをしていくというものであります。さらに、行政コストの削減は時として事業量の合理化にもつながり、そうした側面をカバーすることや、広く雇用の促進としてのワークシェアリング的雇用にも影響を与えていくものと考えられます。 さて、一番目の質問につきましては、先ほど鶴田さんのほうからの質問で御答弁がありましたので、割愛させていただきます。 二つ目として、NPOと行政のパートナーシップの確立についてであります。NPOの特徴である現場に適した判断や対応、柔軟性を持った活動、人を重視した発想、先駆的、実験的な試みなどは、行政には不足しがちな面であると思います。また、行政は、とかく平等、中立、公平といった価値観を政策づくりやサービス提供の基本としておりますが、それだけでは十分な対応はできない社会面が出ているのではないでしょうか。そこで新しい社会づくりを実行するためにも、NPOの育成と公共的な政策立案にも参加共同策の分担など県行政での位置づけを図るべきだと思いますが、いかがでありましょうか。 三点目は、県職員を初めとする地方公務員の退職後の活動の受け皿となるのではないでしょうか。多くの人生を公務に遂行してきた方々が、再就職にいわゆる公的団体等に天下りされることもさることながら、一住民として新たな発想でNPO法人のメンバーとなり、行政のバックアップとパートナーシップづくりのために貢献できることは、大きな生きがいの励みとなるのではないでしょうか。すぐれたシニア人材の社会参加は理想的であります。どうぞお考えをお聞かせいただきたいと思います。 第六番目は防災についてであります。 昨年からことしにかけて二つの特徴的な事故がありました。一つは秋田北港背後地の飯島精錬所における発煙硫酸流出事故、もう一つは秋田沖におけるフェリーの機関故障による漂流事故であります。いずれも大きな被害は出なくて助かったのでありますが、一歩間違えば大きな事故につながる事例と、教訓を与えたものと思います。 先ごろ、たしか二月十一日のNHKテレビ五十周年記念番組で、日本海中部地震の映像がありました。いずれにせよ、突然起こる大地震は非常に恐ろしいものであります。そこで、地震防災についてお尋ねいたします。 一点目は、お年寄りや障害を持つ方、また乳幼児や外国人などの、いわゆる災害弱者と言われる人たちへの対応であります。本県は、全国一高齢化が進んでいるほか、国際化の進展に伴い、県内に在住する外国人も増加している現状を踏まえ、いざという場合における災害弱者の安全確保をどのように考えられているかお聞かせください。 二点目は、公共施設の耐震性の強化についてであります。公立学校施設については、児童生徒等の安全の確保を図るとともに、地域住民等の応急避難場所としての役割を果たすことから、耐震性能の強化及び防災機能の充実強化に努めなければならないと考えます。いわゆる昭和五十六年以前に建てられて、いまだ対応していない学校数とその割合はどうか、あわせて早期対策の見通しはどのように考えているか、お聞かせください。 三点目は、八年前に死者六千四百三十三人を出した阪神・淡路大震災で学んだことが、被災地の学校教育現場で活動化されております。例えば、兵庫県立舞子高校には、昨年四月に全国で初めて環境防災科が設置され、専門の防災学習に、消防学校で週十時間が当てられているということであります。また、中学校でも、ひよどり台防災ジュニアチームが発足し、毎月一回の訓練を行っているとしています。その意図は、昼間に大災害が発生した場合、大人は勤め先にいることが多く、住宅地で頼りになるのは中学生と期待されて、生徒たちも地域の防災活動の屋台骨を支えようと、意欲満々といいます。そこで、我が秋田県においても中学生、高校生に対しての防災訓練など防災意識の普及を図るべきと考えておりますが、いかがなものかお聞かせください。 最後の七番目でございますが、知事の政治姿勢について二点お尋ねいたします。 一点目は、教育基本法の見直しについてであります。さきの議会では教育長の見解を聞いておりますが、あえて知事の教育見解としてお聞かせ願いたいと思います。 このたび、中央教育審議会における新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画のあり方についての中間報告が発表されました。しかし、私どもは、特に教育基本法の改正について幾つかの問題があると思っております。まず、現行の教育基本法が、国家の教育内容に対する関与が抑制的であるのに対して、報告では教育の目標について具体的な心のありように踏み込むなど、全体として教育内容への国家の関与が積極的になっていると考えます。特に個人の内心の自由にかかわる事柄や国家が家庭に干渉するなど、法律で学習について、教員や家族を縛ろうとすることは一考を要すると思えてなりません。この法律の発足の背景には、新憲法の原理、基本理念に基づいてつくられた、いわば教育憲法とも呼ばれているものでした。まさに準憲法的な性格を持つ法律でありますから、その法では憲法と同じく時間をかけて、国民的議論を経て、慎重に結論を出すべきと思うのであります。 確かに、今日のいじめや不登校の急増、学校で学習意欲の低下など、教育にかかわる深刻な問題を直ちに基本法の改正で解決できるとは、到底思えません。ましてや今や時代は国際的、グローバル化の時代でもあります。一国の狭い枠での権力的な手段の押しつけは、ますます教育と学生との隔離を生むような気がいたします。むしろ教師の資質の問題や教育制度上の仕組みの欠陥、校長決裁権限等の問題など、教育振興基本計画の策定などに教育改革の余地があると言われております。国際感覚の豊かな知事の御所見を伺いたいと思います。 二点目は、十八歳選挙権の実現についてであります。今日では、アメリカ、イギリス、フランスなど主要八カ国の中で、選挙権が二十歳以上という国は日本だけです。しかも世界の七割の国々で十八歳選挙権があります。世界の常識であります。秋田県では、岩城町での合併問題における住民投票が十八歳以上で行われたとして話題になりました。投票した本人たちは、その投票への意識を重く受けとめていたという記憶が新しいのであります。私は、秋田県など少子・高齢化社会にあっては、ある意味では若者自身でどう将来の社会、地域づくりを目指すのかなど、今の時代から政策参加していくことが大事だと思います。また、若い人の発想とパワーこそ必要なときでもあるように思えてなりません。こうした制度は、今の閉塞社会を破っていける社会の形態を生むのではないかと期待するものでありますが、知事の御意見をお伺いいたします。 最後に、私も約八年、県議会議員として勤めさせていただきました。悔いはありません。また、次期再び登壇に挑まれる方々の御健闘を心からお祈り申し上げます。 十九世紀イギリスの天文学者ハーシェルが友人に語った言葉に、「我が愛する友よ、我々が死ぬときには、我々が生まれたときよりも世の中を少しなりともよくしていこうではないか」という言葉があります。私もこの思いでこれからも頑張っていく気持ちでございますので、よろしくお願いいたします。 以上、御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(津谷永光君) 県当局の答弁を求めます。     [知事(寺田典城君)登壇] ◎知事(寺田典城君) 工藤議員の御質問にお答えいたします。 最初に、県行政改革についてでありますが、初めに、人件費削減の考え方については、職員数の削減については、定員適正化計画において、平成二十二年度までに一五%の縮減を目標としており、現在この計画を上回るペースで進んでおります。今後なお一層事務事業の見直しや、組織のスリム化、効率化を進め、さらなる職員数の削減による人件費の抑制に努めてまいりますが、地域振興局の三局への統合の際には、将来的に本庁を含め三千五百人体制を目指してまいりたいと考えております。 次に、サービス低下についてでありますが、県政運営に当たっては、広く県民やNPOなどの参加を求め、それぞれ知恵を出し合って、主体性と独自性を発揮しながら、サービスの低下を来さないよう、協働によってさまざまな課題を解決していくことが必要と考えております。こうした県民との協働を進めていく際には、何より県民との情報の共有が重要でありますので、私も率先して県民の中に飛び込み、直接語り合うほか、広報紙や県のホームページなどを活用した積極的な情報提供を行い、県民の参加と連携に理解を求めてまいりたいと思います。 次に、知事給与費の考え方についてでありますが、先般の懇談会では、知事の給与等は、その時々の経済情勢や財政状況等を踏まえながら検討していくべきものであり、適正水準を定めることは難しいという意見や、最近の景気の低迷や厳しい雇用情勢の中で、痛みを分かち合うという意味から、引き下げてはどうかといった意見がありました。私としては、こうした意見や議会のお考えも伺いながら、給与を引き下げる方向で考えてまいりたいと思います。 また、県の出資法人の役員報酬についてでありますが、県が二五%以上出資している法人のうち、収益事業を行う法人に対しては、これまでも役員報酬に業績を反映させるよう指導しております。さらに、来年度より目標管理制度を導入し、その達成状況も踏まえた報酬とするよう指導してまいります。 二点目の活性化の方策についてでありますが、初めに、マーケティング戦略については、県ではこれまで受発注機会の拡大や戦略作目の産地化などにより産業振興を図ってまいりましたが、激化する競争社会において本県産業が埋没しないためにはマーケティングの強化が重要であることから、来年度マーケティング戦略本部を設置することとしております。こうした取り組みは初めてであり、当面は、経済波及効果が大きい工業と農業を重点対象とし、それぞれに特化した実践的支援を行ってまいります。 また、本部事務局においては、マーケティング全般に関する情報の収集、調査研究を行うこととしており、これらの成果を他の分野にも活用して、県内産業の活性化に結びつけてまいりたいと考えております。 次に、潜在的キーワードについてでありますが、本県には、手つかずで残された豊かな自然やこれまで培ってきた伝統、文化、地域コミュニティーなど、自然志向やゆとり志向に対応できる本県ならではの持ち味がたくさんあると考えており、マーケティングなど産業の競争力強化を図っていくことに加え、こうした点にも着目した産業育成に取り組んでいく必要があると考えております。 具体的には、この持ち味を生かした産業として観光を振興していくことに加え、高齢者に対する買い物サービスや子育てサービスなどの生活密着型ビジネスの創出、アグリビジネスなど農業分野での新しい取り組み、あるいは高齢化の進展を強みにした医療、介護、健康関連産業の振興などが有望であると考えております。 こうした産業を育成していくためには、企業の自立的な取り組みに加え、地域の方々の幅広い参画やNPO等によるきめ細かなネットワークづくり、大学や研究機関による地域貢献など、さまざまなアプローチで取り組んでいくことが必要であり、県としては、各部局の連携を強めながら、こうした本県ならではの産業の芽をはぐくむように努めてまいりたいと思います。 次に、創業者の支援についてでありますが、地域経済の安定的発展のため、起業を促進することは重要な課題であり、産業振興プラザ、商工会連合会、商工会議所等において、創業予定者の個別相談や創業塾などの研修会を開催しております。とりわけ、地域に身近な商工団体においては、創業の心構えから会社の設立の仕方、販売や資金繰りなどの事業計画の立て方など創業に必要な具体的知識等の習得に向け、きめ細かな支援を実施しております。 創業に当たっての課題として最も大きなものは、事業実施のための資金調達が挙げられており、このほか、販売先の開拓や人材の確保等となっております。また、県が行っている開業・開店起業化支援事業において、四十歳以上が三分の二を超えておりますように、特に厳しい雇用状況のもとに置かれている中高年齢者の創業へのニーズは高まっております。 県といたしましては、今後とも、創業を目指す方々のさまざまな課題に応じ、民間アドバイザーを活用した専門的サポートを充実するとともに、起業者育成のための融資制度を使いやすくすることや、中高年の起業者に対し利子助成による手厚い支援を行うことにより、多くの方々の起業を促進してまいりたいと考えております。 三点目の観光振興についてでありますが、初めに、産業としての観光については、観光は、宿泊、輸送、飲食にとどまらず、農林水産などあらゆる業種に関連するすそ野の広い、総合的な産業であり、その振興は、雇用機会の創出はもとより、本県地域経済の活性化に大きく寄与するものであります。このため、観光振興を本県産業施策の柱として位置づけ、これまでも、豊かな自然はもちろんのこと、祭りや郷土料理などの恵まれた観光資源を生かし、テレビCMなどを活用しながら積極的に観光情報を発信し、誘客に努めてきております。 今後とも、本県の持つ観光資源のさらなる魅力アップや受け入れ態勢の充実を図るとともに、各種メディアによるPR、東京や仙台における観光物産展の開催に加え、昨年開設したソウル事務所などにおいても積極的に本県観光宣伝を行い、国内外からの誘客拡大を図ってまいりたいと思います。 なお、事業の実施に当たっては、民間の方々の参画や専門的なアドバイスも活用しながら、観光振興に努めてまいりたいと考えております。 次に、観光エリア・ゾーンについてでありますが、最近は、地域にじっくりと腰を据え、その土地でしか体験できないことや味わえないものを求める、滞在型の観光への需要もふえてきております。こうした中で、本県には、世界自然遺産の白神山地のブナ、森吉山の高山植物、鳥海山ろくの獅子ヶ鼻湿原など、手つかずの自然が数多くあり、これらを核とした周辺エリアでは都会にはないいやしの空間が広がり、ここには日常生活とは異なる時間の流れがあり、まさにそれこそが、今、旅に求められているものであると考えております。このため、都会の人たちが原風景として感じている「そのままの秋田」にどっぷりと浸って、疲れた心をいやしていただけるよう、地域の魅力ある素材を有機的に組み合わせた広域的なエリアを設定していくことが大事であると考えております。 今後とも、自然に恵まれたふるさと秋田をそのまま生かし、地元の方々とともに、これを守り、はぐくむような地域密着型の取り組みを行い、誘客に結びつけてまいりたいと考えております。 次に、温泉活用についてでありますが、温泉は、自然の恵みを享受しながら、心のゆとりや豊かさを取り戻し、心身の活力を養う、健康づくりには格好の場であります。幸いにも本県には、良質で湯量も豊富な温泉が多くあり、このことが本県観光の大きな魅力の一つになっております。昨年度スタートさせた健康秋田21計画においても、重点項目の一つとして、温泉の活用を掲げており、新たに市町村が取り組む健康づくりに対する支援事業を創設いたしました。この中では、温泉を健康教室や健康診断、ウォーキングなどと組み合わせるなど、健康づくりに積極的に取り組む市町村もあり、本事業をきっかけとして、地域の温泉を健康増進に活用する動きが芽生えてきております。 今後は、このような動きを全県的に広げていくため、温泉と健康に関するさまざまな情報の提供に努め、温泉の宝庫である本県の地の利を生かした、温泉活用型の健康づくりを推進し、このことを観光客の誘客にもつなげてまいりたいと考えております。 四点目の健康社会の構築についてでありますが、初めに、心の健康づくりについては、高齢者が心身ともに健やかで、心豊かに生活するためには、家族や地域との触れ合いを深めながら、生きがいを持っていただくことが重要でありますので、老人クラブが実施する、地域に根差した社会奉仕や世代間交流などの活動を支援するとともに、LL大学園の開設やサラリーマンOBの仲間づくりに積極的に取り組んでおります。 また、健康長寿推進チームにおいては、閉じこもりがちな高齢者を対象に、モデル的に、地区単位のふれあいサロンや自主活動グループを立ち上げるなど、健康と生きがいづくりを推進しており、今後、こうした成果の周知を図ってまいります。 さらに、高齢者が自由な時間を積極的に活用して、いつでも、どこでも、楽しく学ぶことができるよう、学習の場と機会を提供することも必要であると考えております。県では、生涯学習を進めるため、あきた県民カレッジの充実に努めておりますが、高齢者が受講登録者の六〇%を超えていることから、秋田市を中心とした主催講座の会場を、平成十五年度からは、大館市と横手市にも設けることとしており、また、カレッジで学んだ成果を、それぞれの地域で活用したいと希望する高齢者も多いことから、今後は、公民館等において指導者やボランティアとして参加していただくことにより、高齢者の生きがいづくりに役立つよう、積極的に取り組んでまいります。 次に、女性の健康体制についてでありますが、現在、女性が女性の医師から総合外来でじっくり診察を受け、症状に応じて各専門科へ振り分ける女性専門外来が満足度の高い医療として注目されております。これは、男女の性の差を念頭に置いた新しい診療体制であり、思春期から老年期まで、生涯を通して女性の健康を管理しようというニーズに沿ったものでありますが、必要な女性医師の確保など、具体化に当たっての課題が少なくないことから、医師会等の関係団体や、公的病院と協議するとともに、県立病院についても検討を加え、その実現に向けて努力してまいります。 次に、小児医療についてでありますが、現在、救急救命士の小児科領域の処置については、その養成課程において教育を受けており、資格取得後も協力病院の実習を受けることになっておりますが、今後、その充実については、国の動向を踏まえて対応してまいります。 次に、小児救急医療については、医療保健福祉計画においても重要な施策の一つと位置づけておりますので、地域の保健医療の基本的な単位である二次医療圏ごとに、協議会等の場を活用し、応急処置や医療の確保について、医療、消防、教育などの関係者から広く意見を伺いながら、その充実に努めてまいります。 また、来年四月から医師の臨床研修が必修化されることから、その研修プログラムの内容について、現在、国において検討作業が続けられておりますが、小児科についても、国の医道審議会では、研修プログラムに盛り込むよう提言しておりますので、国の動向を見きわめながら、的確な臨床研修が行われるよう、病院に働きかけてまいります。 次に、医療事故への対応についてでありますが、昨年十月、医療法施行規則の一部が改正され、病院と有床診療所に対して、医療安全管理体制の確保が義務づけられました。すべての病院から体制が整っているとの報告を受けておりますが、県としては、毎年の定期立入検査の中で、その実施状況を点検するとともに、医療従事者に対する研修を強化し、安全の確保に万全を期してまいります。 また、医療にかかわる苦情や相談については、医務薬事課と各健康福祉センターで対応し、これまで年間約四十件の相談が寄せられており、医師会においても相談窓口を開設して対応しております。こうした医療相談については、病院などに対し、患者の疑問等について十分な説明を尽くし、納得や理解を得るよう強く要請してまいります。 五のNPO法人についてでありますが、最初に、行政とのパートナーシップの確立についてであります。 多様化する住民ニーズに行政がすべて対応するには限界があることから、行政と県民がそれぞれの立場を尊重しながら、新たな連携、協働のためのシステムを築いていく必要があります。特に、地域に密着した活動を通じて住民ニーズを把握し、地域振興や福祉サービス、資源リサイクルなどの地域課題に柔軟にきめ細かに取り組むことができるボランティア・NPOは、大きな役割を担うものと考えております。 このため、本年度中に策定するNPOとの協働に関する行動指針に基づき、ボランティア・NPOの自主・自立性を尊重しながら、連携、協働を進め、新たな経済、サービスの分野における活動領域の拡大を図ってまいります。 次に、県職員退職後の社会貢献についてでありますが、平成九年二月にボランティア休暇を創設し、本年一月からその適用範囲を拡大するなど、県職員の社会貢献活動への参加について在職中から積極的にかかわることを奨励しております。退職後についても、セカンドライフのあり方として、長年培った技術や知識を生かし、自己実現の場となるNPOへの参加を今後とも推奨してまいります。 六点目の防災についてでありますが、初めに、災害弱者への対応については、地域防災計画では、災害弱者対応を重点の一つと位置づけており、地域においては民生委員やホームヘルパーとの協力体制のもと、プライバシーに配慮しながら、日ごろからこうした方々の状況を把握しているほか、災害時には身近なところで避難誘導にも当たる自主防災組織の育成に努めております。また、救援活動における生活支援や手話通訳などの多様なニーズに対しては、行政のみでは対応できないケースもあり、災害ボランティア活動が大きな力として期待されております。 こうしたことから、県とボランティア関係団体が連絡会議を設置し、密接なネットワーク化を図るなど、活動のための環境整備を進めており、市町村や地域住民の方々と一体となって、災害弱者の安全確保に努めてまいります。 次に、公立学校の耐震性についてでありますが、県立学校の耐震性の確保につきましては、昭和四十六年の旧耐震基準以前に建築された学校は、これまでも計画的に改築してまいりました。さらに、秋田県地震防災緊急事業五箇年計画に基づき、平成九年度から特殊学校を中心に耐震調査や補強工事を行うなど、その向上に努めてまいりました。 今後は、既に耐震化された学校及び改築等に着手している学校を除いた三十七校、五三%についても、一層の耐震化を図ってまいります。 また、市町村立学校につきましては、全学校数四百四十八校のうち、百九十三校は既に耐震化されておりますが、昭和五十六年以前に建築され、まだ改修されていない二百五十五校、五七%については、設置者である市町村に対し早期に耐震改修を促進するよう働きかけてまいります。 七点目の私の政治姿勢についてでありますが、初めに、教育基本法の見直しにかかわる見解については、日本の社会の現状と今後の変化を見通した上で、新しい時代にふさわしい教育の目標を考えるためには、憲法の精神や現行の教育基本法に盛られている普遍的な理念を大切にしながらも、教育の根本にまでさかのぼって、見直しの検討が行われることは必要なことであると思っております。昨年十一月には、これまでの議論を踏まえ、中央教育審議会の中間報告が出されましたが、新たに追加すべき理念として、日本人としてのアイデンティティーと国際性が取り上げられるなど、私が問題意識として抱いている個の確立や異文化交流と人材養成といったことと相通じるものがあると考えております。 しかし、さきの中間報告にも明記されているように、国を愛する心を大切にすることや、我が国の伝統、文化を尊重することが、国家至上主義的な考え方になってはならないのは当然のことであります。こうした、教育基本法の見直しについては、まだ議論がすべて尽くされたという段階ではなく、引き続き中央教育審議会においても議論が続けられております。いずれにせよ、教育の根本に関することでありますから、今後一層、さまざまな立場から国民的な議論がなされることが肝要であると認識しております。 次に、十八歳選挙権の実現についてでありますが、選挙権年齢については、昭和二十年の衆議院議員選挙法改正以来、満二十歳となり今日に至っておりますが、十八歳への選挙権の付与は世界の流れであると思います。また、本県が抱える急激に進む少子・高齢化の問題点として、高齢者に比べ若者の意思が県政に反映しにくい状況となることから、今後、次代を担う若者の要望をどう酌み取っていくかが重要な課題となり、政治参加の機会を広げる方策について検討する必要性を感じております。 この問題については、民法の成年年齢や少年法の適用年齢の引き下げ、あるいは義務と責任についての教育面での環境づくり等、関連する事柄もすそ野が広いものがあり、慎重に取り扱うべき問題と思います。 以上でございます。     [教育長(小野寺清君)登壇] ◎教育長(小野寺清君) 工藤議員から御質問のありました中・高校生の防災教育についてお答えいたします。 昭和五十八年、日本海中部地震において十三人のかけがえのない幼い命が奪われたことを教訓に、学校教育における防災の手引を作成し、防災意識の啓発に努めてまいりました。 これまで防災教育は、学校の教育課程に位置づけ、地震や火災を想定した避難誘導などの訓練を年二回程度、計画的に実施しているほか、市町村や県が実施する総合防災訓練にも、児童生徒が積極的に参加し、初期消火や搬送の訓練などに取り組んでおります。特に、ことしは日本海中部地震から二十年目の節目に当たることから、県が新たに作成する防災教育ビデオを活用するなど、各学校がそれぞれの地域の実態に合った取り組みが行われるよう、市町村教育委員会、各高等学校を指導してまいります。 今後は、児童生徒が不測の事態にも、みずからの安全を守るための対処の仕方を身につけるとともに、学校における防災教育で身につけたさまざまな力を、児童生徒の発達段階に応じて地域に貢献できるよう一層の充実を図ってまいります。その一環として、高等学校では、ひとり暮らしのお年寄り世帯の除雪作業などに十一校が取り組み、継続的な関係に発展している例もあり、さらに来年度からは、高校二年生が五日間程度のボランティア活動を行う際に、地域防災の観点から、地域の一員として協力できる実践的な防災教育を取り上げてまいります。 以上でございます。 ○議長(津谷永光君) 七番工藤君の質問は終わりました。 以上で一般質問を終了いたします。 本日はこれをもって散会いたします。 △午後三時四十四分散会...